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宗定法要式回向文集

「開宗会回向文」現代語訳

石川教張 訳

【現代語訳】
【原 文】
 伏して思うに、わが宗祖日蓮聖人、長い年月にわたり、一切経の王たる真実第一の経とは何か、を考え求め、大いなる疑問の解決を願い、ついに法華経こそ一切経の真髄、法華経の題目は法華経の肝心であると決し、正しい仏法である法華経をこの世にうち立て、国家社会の平安を実現する旨をすべての規範となされた。
伏して惟るに我祖宿年の大疑既に決し、将に立正安国の宗旨を開かんとし給うや、
 もしも仏法を破る者を見ながら、これを誡めたださねば、この人は仏法の中の怨敵である。たとえ命を失おうとも、教えをかくしてはならない、との仏のきびしい誡めをこうむり、命を惜しまず法華経を思い切って説こうという信念をかため(伊勢神宮に詣でて)、われ日本の柱とならん、われ日本の眼目とならん、われ日本の大船とならん、と三つの願いをささげ、これを国家社会のよりどころとし、建長五年の春四月二十八日、千光山清澄寺の頂に登り、あかあかと昇る旭日を拝み、法華経の題目を十遍唱えて、立教開宗を宣言なされた。
仏法中怨忽の巌誡を畏みて不惜身命の信念を固うし、伊勢に神宮に詣でて具さに国柱の三願を奏し、建長癸丑第五の春、千光山頭瞠々の旭日を拝し、玄題十唱、以て立教開宗の典を宣べ給う。
 法華経の題目を唱える朗々とした、きよらかな声は、あまねく世界にひびきわたり、み仏も天界の者たちも皆大きな喜びにわきたち、心を悩み乱す魔王は、驚愕して、恐れ、心をおののかせるにいたった。
梵音法界に徹して佛天歓喜し、魔王驚駭して怖畏の心を生ず。
 まことに、これは世界にとって、偉大なる一大事をあらわすものであり、いまだかつてない盛大な儀式であった。釈尊が宝塔の中より、地より湧き現れた菩薩たちに、仏の入滅したのちの悪世の末法に、法華経の題目を唱えひろめるよう付属したことが、いつわりではなく、ここに実際に示されたのである。
寔に是れ法界の一大偉観にして未曾有の盛儀塔中の付嘱虚しからず、
 こうして、末法の世を救い、仏の教えを信ずる者を守る正しい教えの根本がうち立てられた。
末法救護の憲教茲に立す。
 この時以来今に至るまで、実に(七百年)─(七百五十年)を経て、こんにち、その聖なる年を迎え、うやうやしく、立教開宗の法要をおごそかにいとなみ、これによって、記念すべき立教開宗を祝い、讃めたたえ、法華経の題目を唱えひろめる、こころざしの一端をささげるものである。
爾来今に至って實に七百年、乃ち今日その聖辰を迎え、恭しく一会の法要を巌修し、以って記念慶讃の微衷を伸ぶ。
 願わくは、日の東より昇って西へむかうがごとく、妙なる法華経の教えを東より西にひろめようとする宗祖の願いが実現し、釈尊に教え導かれた上行菩薩をはじめとする仏の使いに託された偉大な教えである法華経が、すみやかに全世界にひろまり、世界がひとしく仏の国土としてのすぐれた姿を示し、現し、すべての人々が、ひとしく法華経の題目を唱えてよりどころにし、法華経の題目を身と心の戒しめとし、法華経の題目の光明に照らされて、尊び敬い、人を救い、ひたすら法華経の教えに帰依して、たがいに喜びを同じくして生きることを。
仰願くは妙経西漸の祖讖虚しからず、本化の大教速かに閻浮提に広布して通一佛土の妙相を示現じ、萬民斉しく三秘の妙宗に帰して歓喜を同うせんことを。
 全世界の人が皆、法華経を信じ、これをよりどころとし、さらに末法万年にわたって、法華経が広くひろまることを願うものである。
一天四海、皆帰妙法、末法萬年、広宣流布。

【註】
文中の(伊勢神宮に詣でて)の箇所は、原文の『伊勢に神宮に詣でて国柱の三願を奏し』に拠る。
これをカッコにしたのは、原文内容が後世の伝承にもとづくものであり、日蓮聖人はこれを記していない上に「三大誓願」は立教開宗の地、清澄山で宣示されたものであるため、あえて読みあげなくてもよいことを示すためである。また「七百年」とある箇所は「七百五十年」と付け加えた。
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