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宗定法要式回向文集

「彼岸会回向文」現代語訳

石川教張 訳

【現代語訳】
【原 文】
それ思うに、まことの正しい真理の姿は、菩薩として修行し悟りを得た仏の功徳を根本としています。うわべにとらわれず、こだわらず、その奥に真実が融けあい、言葉や思慮分別も超えた絶対的で不可思議な法に、ありのままの真理が納められています。
過去・現在・未来の世に現れた仏は、この不可思議な法を身につけ悟りきわめて、堅固な仏になったのです。
私たちの救い主である釈尊は、この法を説いて、妙法蓮華経と名づけられたのです。
夫れ惟るに中道法性の妙理は本因本果圓融三諦の妙法、三世の如来は之を證得して金剛不壤の妙體を成じ、教主釈尊は之を説いて妙法蓮華経と名け給う。
この妙法蓮華経は、悪しき欲望の炎を消し去り、取り除き、身も心も清らかに、さわやかにする、偉大な教えであります。迷いの世界にいる者を悟りの世界に渡し、その身のままで一瞬のあいだに仏になれる一番の近道なのです。
今、春分(秋分)の日にあたり、この妙法蓮華経を読み、法会をつつしんで営むのは、妙法蓮華経の教えを悟り、その優れた教えを讃めたたえ、一緒に、悟りにいたる優れた功徳をつみ、幸福を得ようとあるためであります。
滅除煩悩甘露清涼の大法、到於彼岸即身成仏の直路なり。乃ち今春(秋)分正中の佳辰に方り、此の妙経を読誦して一会の法要を虔修し、此の妙法を講讃して一座の講筵を開き、以って彼岸勝妙の福会に擬し奉る。
すべての者のために、願いをささげます。
いまだに欲ばりの心から離れていない者には貪りの心より離れさせるようにしたい。いまだに怒りの心から離れていない者には怒りの心より離れさせるようにしたい。いまだに疑い深く善悪を知らない愚かな心から離れていない者には愚かな心より離れるようにしたい。全体としては、僧俗を問わず、すべての者が偏見や邪悪な心より離れて、真実で正しい心を持って、心につもっている煩悩の塵をはらい、苦しみよりはなれて、仏の悟りの境地に入ることを願うものであります。
仰願くは一切衆生、未だ貪りの心を離れざる者には願くは貪りの心を離れしめ、未だ怒りの心を離れざる者には願くは怒りの心を離れしめ、未だ愚痴の心を離れざる者には願わくは愚痴の心を離れしめ、総じて世出世間一切の偏邪を離れて中正なることを得、遠塵離苦して菩提の覚路に入らしめ給わんことを。
また、願いをささげます。私たちは同じように妙法蓮華経を信じ実行する人間として、正直をこころがけ、心おだやかにして、つねに仏・法・僧の三宝を尊び敬う心を失うことなく、僧俗一体となって、妙法蓮華経の教えを実行する同志を讃めたたえあい、信心修行に努力し、迷いを離れて仏の悟りを得ようと心をふるいおこし、その信仰心をいよいよ厚くして持ちつづけ、これによって現在と未来の世において仏になる願いが完全円満に叶えられることを。
又願わくは我等同門の行人、質直にして意柔軟に、常に三宝尊敬の心を失わず、真俗一如同行讃美、信行に精進し、菩提心を増長し、以て現當二世の所願をして圓満ならしめ給わんことを。
さらに、別して願いをささげます。この寺の代々の諸上人が久遠に生きる釈尊のかたわらにあって、仏さまの浄土をきよめ、ますます妙法蓮華経の教えの道に生き仏のめぐみを受けることを。また、それぞれの先祖代々の霊、総じてはこの世界の縁ある者、縁なき者も含めたすべての霊がこの功徳によって悟りをいよいよ深め、苦しみ多き転変する人生の大海を渡って、大いなる悟りにみちた安らぎの彼岸に到着し、釈尊のおられる浄土において心しずかに平安の境地に入り、仏のめぐみを受けることを。
別して願わくは當山歴代の諸上人、増圓妙道位隣大覚、報地荘厳報恩謝徳。檀信徒中先祖代々の諸精霊、総じては法界海有縁無縁の諸精霊等、此の功徳を以て菩提を増進し、流転生死の大海を渡って大般涅槃の彼岸に到り、本時常寂の宝刹に於て勝妙の大果報を得んことを。
願わくは、この功徳を広くすべてに及ぼし、私たちと一緒に仏の道を歩み通して仏になることを。さらに、全世界が等しく、この功徳によって平安になることを。
願以此功徳、普及於一切、我等與衆生、皆倶成仏道、乃至法界平等利益。

【語句注釈】 
◎( )内は辞書に載っていない語句。
◎典拠が示されていない語句については全て小学館『仏教語大辞典』を参照。
「中道」 一方に偏らない中正の道。絶対真実の道理。
「法性」 すべてのものの真実ありのままのすがた。
「妙理」 思慮分別を超えた深遠な真理。
「本因本果」 根本の原因。法華の十界のうち前九界を果としての仏界に対していう。十界を因果に分けて前九界は本仏所具の因であるところからいう。
「圓融三諦」 空・仮・中の三諦はそれぞれ一諦に三諦を具えて、相互に完全に溶け合うから即空・即仮・即中との説。
「金剛不壊」 極めて堅固で壊れないこと。仏身や仏土などの形容に用いられる。
「妙體」 真実絶対の本体。
「講讃」 経論などの意味、内容を講じ、その功徳をたたえること。
「講筵」 経文などを講義する場所、またその講席。
「福会」 功徳行としての仏事法要。
「世出世間」 俗世間と俗世間を捨てた出家の世界。
「遠塵離苦」 汚れを遠ざかり、苦しみを離れること。
「菩提」 世俗の迷いを離れ、煩悩を断って得られた悟りの智慧。
「覚路」 悟りへの道。
「行人」 修行者。
「現当二世」 現在世と未来世。この世とあの世。
「所願」 仏・菩薩に願っている事柄。
「円満」 功徳などが満ち足りていること。
「流転」 六道・四生の迷いの生死を繰り返すこと
「生死」 生まれかわり死にかわりして輪廻すること
「大般涅槃」 仏の悟りを得た安らぎの境地。
「本時」 法華経寿量品で釈尊が開顕された、成仏の久遠の昔をいう。
「常寂」 心が常に落ち着いていること。仏の悟り。
「果報」 前に行った善業か悪業によってのちに報いとして受ける楽果か苦果をいう。とくにすぐれた報い。
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