日蓮宗 現代宗教研究所
Nichiren Buddhism Modern Religious Institute
| 所報第32号:8頁〜 |
教化学研究 |
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教化学研究
政治と宗教―世紀末から二十一世紀にかけて―
乙骨正生
(ジャーナリスト)
それでは始めさせていただきます。本日は現宗研の方からご依頼いただきました「政治と宗教」、特に創価学会の問題を中心に世紀末から二十一世紀にかけて、何が問われているのかについて若干お話をさせていただきたいと思っております。
一
私は、ご紹介いただきましたように、昭和三十年に創価学会員の家庭に生まれました。ちょうど昭和四十三年に中学に上がるときに、東京の小平市に創価学会の最初の学校である創価中学・高校が開学をいたしました。それで受験をしてたまたま受かったので、一期生として創価中学へ入学をし、その後創価大学へ進学いたしました。
ちょうど大学に在学中の五十年代初めごろから、日蓮正宗と創価学会との間で第一次宗門紛争が生じて、私が在学中の大学四年のときに創価学会のいろいろな教義逸脱とか、あるいは社会的な不正が大きく取り上げられるところとなりました。私は創価中学、創価大学在学中に、池田大作さんから何度も指導を受けておりました。そうした池田氏の指導あるいは創価学会の指導に、多くの疑問を感じていたことがありましたので、第一次の宗門紛争を契機に創価学会を脱会して、卒業とともにジャーナリズムの道に入りまして今日に至っております。
そういう経緯もございまして、私は、創価学会のあり方には問題が余りにも多いとの認識をもっております。しかも彼らは当時公明党という政治勢力をもっており、創価学会流の「広宣流布」という目標、その中には天下取り、政権奪取を含んでいますが、「広宣流布」に邁進している。しかし、これは非常に危険なことである。これをジャーナリズムの世界の中で広く社会の人たちに問うていこうということで執筆活動をいたしております。
池田大作氏の実像については、私がお話を申し上げるよりも、実際にご覧いただいた方がよくわかるだろうと思いまして、今日ビデオテープを持ってまいりました。これは平成五年の正月に池田大作さんがアメリカへ参りまして、アメリカの創価学会の総会を行った、その時のものです。アメリカでも日本でもそうですけれども、創価学会では、全日本、全米の会館に全部衛星中継を送るために、ビデオカメラで撮影しています。その撮影していた担当スタッフの幹部が、池田大作さんのあまりの言動にあきれまして、脱会をして、池田さんが講演している生のテープをそのまま持ち出してきてしまった。普通は池田大作さんが一時間なり二時間なり話をすると、その中の格好よい部分だけを編集をして一本のPRビデオを作って会員に頒布していくわけです。そこには世界の仏教指導者池田大作という本当に格好をつけた池田さんの姿が出ているわけですが、実際はかなりひどいものです。そのまさにふだん見ることのできない生の実像がよく写ったテープが流出したのです。この事実を私は週刊誌上で報じたのですけれども、創価学会を脱会した人たちが、多くは日蓮正宗に所属して学会と対立する形になっている人たちが、その中のおもしろい部分だけをつなげて再編集したテープを作りました。それが今日持参したテープです。約二十分あります。これを最初にちょっとご覧いただくと、池田大作氏とはなるほどこういう人なのかということがおわかりかと思いますので、ひとつ講演の前にご覧いただければと思います。
(ビデオ上映)
今ご覧いただきましたのがアメリカSGIの総会、これには関西の交流団が参加しており関西総会も兼ねていますが、その総会での池田発言の一部分でございます。
見ていただいて池田大作さんの実像、あるいは創価学会という宗教団体の内実が大体おわかりいただけたのではないかと思います。
その池田大作さんは関西が非常にお好きなのです。昨年十月二十日投票の衆議院選挙では、創価学会が全面支援した新進党が敗北をし、旧公明系の学会員候補も大量に落選をいたしました。東京では五人立てて一人しか通らないというような大惨敗だったわけですけれども、関西では、学会員候補は全員当選、十九選挙区で新進党は十七勝二敗と圧勝しました。このことを池田さんは非常に喜びまして、今日お手元にお配りしたように、資料三枚目、これは今年の一月七日の『聖教新聞』に出されたものですが、こんなメッセージをだしています。
偉大なる関西よ!! 全日本、全世界の牽引力たれ!!
偉大なる関西の皆さま、おめでとう。本年も大阪は勝ってください。断じて勝って、全日本、全世界の会員を引っ張っていってくれたまえ。私も三六五日を、連戦連勝で勝ち進む決心です。
二
では、いったい何に勝つのかということですが、それは選挙に勝つこと以外の何ものでもないのです。昨年の総選挙で敗北してから一週間後の十月二十七日に、創価学会は本部幹部会という会合を開きました。そこで池田さんはまたビデオのような調子で話をしています。どういう話をしたかというと、中国共産党の長征の話をいたしました。昭和九年に中国共産党の紅軍が、国民党との内戦に破れて南京南部の中国東南地域から、西北部の延安まで約一万二千キロを徒歩で歩くという長征を行いましたが、その長征を例に引きまして、「前進、前進、広宣流布の長征をこれからやるのだ」、こういう話をしているわけです。要するに今回の選挙で負けた。しかしそれは中国共産党の長征に比べればごく一歩なのだ。将来の広宣流布に向かっての長征はまさにこれからなのだと、こういう話なのです。
どんなことをいっているのか、一節だけちょっとご紹介します。
創価学会の広宣流布の万年の長征をゼンセツに、明年――(今年は、学会では新世紀前進の年というのですが)――は、新世紀前進の年はその本格的な第一歩である。戦いは今まさに始まったばかりである。一万メートル走でいえばまだ五十メートルぐらいしか走っていない。これからである。これからが本当の前進である。
こういう話をしています。これから広宣流布に向かって創価学会は長征を開始するのだ、こういうふうに池田さんは会員に対して檄をとばしたわけです。
そして、池田大作さんは毎年正月に新年の歌を『聖教新聞』に発表されるのですが、今年の正月にはこういう歌を発表しています。
いざや立て いざや征かなん大法戦 三世諸仏の 守りはたしかで
創価学会においては「法戦」、法の戦いとは「選挙」を意味しています。ですから「いざや立ていざや征かなん大法戦」、要するに、勇躍選挙に立ちあがれば過去・現在・未来の三世諸仏の「守りはたしかで」あると。こういう歌を詠んで、「今年も選挙で頑張れ」、こう檄をとばしているわけです。
先ほどお配りした一番最初のものをご覧いただきたいと思いますが、これは前前回の衆議院選挙に際しての創価学会の内部指示文書です。これは関西で配付された内部指示文書です。
「衆支援活動の基本思想」という題がつけられています。以下、少々読んでみます。
〈スローガン〉
「関西同志の団結で 常勝新世紀開く 完全勝利を!」
〈基調〉
1、常勝新世紀開く初戦
今回の戦いは、“広布の心臓部”関西にとって、二十一世紀――新世紀に向けて船出する法戦となる(選挙を「法戦」と学会では位置づけている証明です)。また「正義は勝ってこそ証明される」との言葉どおり、今回の戦いは、全国・全世界に“関西魂”の底力を示す広布新開拓の重要な戦いとなる。
従って、我々常勝家族の団結で、関西完全勝利はもとより、“関西・西日本常勝ネットワーク”の果敢な戦いを展開し、二十一世紀――“民衆の時代”の幕開けを勝ち取りたい。
2、各人が大成長できる信心の戦い
関西同志の一人ひとりにあって、今回の戦いは、自身の広布史、また信仰の歩みに大きく輝く“黄金の法戦”としていきたい。それは、縁深きこの関西の地で自らの宿命転換、人間革命の実証を示し、“信仰の歓び”、“確かな人生”を一人ひとりが勝ち取る戦いである。そして、そのこと自体が、社会に信仰勝利の旗を高く掲げる偉大なる広布推進の戦いとなる。
この戦いを通し、一人ひとりが、学会精神溢れる常勝の本物の弟子として、筋金入りの人材と育つべく、勇猛果敢な戦いを展開していきたい。
3は「二十一世紀へ確たる平和勢力の構築」
と、こうあります。
周知のように創価学会では、「王仏冥合」「国立戒壇」ということを掲げて、昭和三十年以来政界に進出をしてきたわけです。しかしそれは昭和四十五年の言論出版妨害、藤原弘達氏が書いた『創価学会を斬る』という本に対する言論出版妨害への批判を通じて、「国立戒壇」構想というものは、憲法二十条、あるいは八十九条に抵触する、憲法違反であるということで、創価学会はこれを取り下げるわけです。しかし同時に「国立戒壇論」を引っ込める代わりに何を出してきたかといいますと、「天下取り、政権奪取」ということを「国立戒壇」に代わる――代わるというのでしょうか、表裏一体ではあったのですが――政治進出のための一つの宗教的テーゼとして彼らは掲げてきたのです。要するに合法的な手段である選挙を通じて国会の多数を占める。それで、国立戒壇――とかつて言っていたのですが――を捨てて、そのかわり民衆福祉、生活者の政治を実現するとか、民衆福祉の政治を実現するという美名のもとに政権掌握をしていく、こういう考え方に変えていったのです。
その最終的な目標は何であったかといいますと、昭和四十年代初めのころに池田大作さんがいつも話していたことは、池田大作さんが最高権力者になる。当時は自らが公明党の総裁になって総理大臣になるという言い方をしておりました。あるいは今のビデオの最後に出ておりましたけれども、当時青年部長をしていた秋谷現会長が、広宣流布の暁には、我が男子青年部で内閣を組織すると、こういう発言をしておりました。創価学会が政権をとっていくのだ、それが広宣流布なのだという考え方を強調しております。
それは昭和四十五年の言論出版妨害事件に対する批判を通じて、政教分離という形を打ち出しはしたものの、政教一致の体質は以後一貫して変わらなかった。その一つの証左がまさにこうした指示文書なのです。
創価学会の信仰とは、広宣流布を目指す信仰であり、広宣流布とはとりもなおさず天下取りであり、政権を奪取することだということが創価学会の基本軸です。これは変わりようがない。そのために各組織に指示を出して会員の宗教的パッションを高揚させる。目先の選挙という戦いに全力を傾注させ、そのために一生懸命題目をあげる、何々をするという形で、会員の宗教的パッションを高めていく。そして題目をあげることによってご利益を得るのだというような言い方をしています。選挙活動、政治活動と宗教活動がまさに一体融合化しているのが創価学会の信仰そのものなのです。まさにこういう支援活動指示文書は、そういう実態を如実に示しています。
三
ではこういう活動では具体的にどういうことをするのかをちょっと申し上げさせていただきたいと思います。
これは平成四年の参議院選挙で、兵庫県からでた片上公人という今セクハラで訴えられている参議院議員がおります。秘書の方に強引に性的関係を迫ろうとして訴えられて今大問題になっているのですが、彼は元創価学会の兵庫県の最高幹部から公明の参議院議員になった人物。その片上の選挙のときに、兵庫の学会員に配られた題目表です。「獅子革命題目表」とか、「片上、喜んで、勇んで獅子奮迅」、「一枡の題目数は自由」と書いてあります。全部で百四十四枡ありますが、「一枡千遍で一日八千遍の唱題で、百万遍オーケーです」とここに書いてあります。要するに片上必勝のために題目をあげさせる、そのための表なわけです。こういう形で唱題をさせる一方で、彼らは熾烈な選挙活動を続けていくのです。
これは一昨年の統一地方選挙、ならびにその後の参議院選挙のときの、東京江東区の行事予定表ですが、これを見ていただくと、「KのFとり」と書いてあります。これは統一地方選挙の区議選、東京江東区の区議選ですから、区議選を「K」といいまして、「KのFとり」と書いてあるのです。ずっと書いてありまして、「区議選告示投票日」となっていて、「大勝利目指して力の限り戦いを展開しよう」、こういうふうになっています。同じく、これは七月の参議院選挙ですが、参議院選挙を前にした六月からは、「内外へ徹底した友好拡大」ということで、「全都交流」をする。これは要するに東京都全域と江東区が交流をする。「三都交流」というのもあります。これは、東京、神奈川、埼玉との交流。要するに江東区に住んでいる学会員で、東京都内に「F」、「F」というのは、学会員以外のフレンドの票のことをFというわけですが、公明に入れてくれる支援者をつくる戦いをする。東京、神奈川、埼玉に、公明――新進党になりましたけれども、旧公明――、学会員の参議員候補が出ていますので、その学会員の候補のいるところに支援にいってFをとれという指示が出されているのです。そして七月に入って参議員選挙直前になると、全国TEL作戦です。これは「全国交流」という形になります。毎週末は「Fとり推進デー」となっています。こういう形で学会員は選挙活動に全力をあげる。しかも全国に手弁当で行って活動をすることを繰り返して行う形になっています。
その具体的活動はどういうことをするのかといえば、「支援活動の取り組みについて」という指示文書が次々に出てくるわけですが、そこでこんなふうにいっています。
まず一つ、これは「支援活動について、本番体制第四期の活動について」という文書です。学会は選挙に向かって第一期、第二期、第三期、第四期というスケジュールを組みます。例えば七月、来年も参議院選挙がありますが、七月の参議員選挙を前にしますと、前年の十二月から大体一月を第一期、二月、三月を第二期、四月、五月を第三期、そして六月から本番までを第四期というふうに区切っていきます。そして活動を積み上げていくのですが、その「本番体制第四期の活動について」の指示文書がこれです。それにこう書いてあります。
《活動のポイント》
1、Fの獲得に最後まで挑戦。
2、F○づくりを強力に推進。(F○というのは外部のFだけれども、さらに自分以外のFをとってくれる優良Fのことをいいます。これをやる。)
思いだそう、思いおこそう、友情の輪を参考に自分のFの限界に挑戦し、新しいFを開拓しよう。
3、K○づくりを強力に推進。
候補から電話をしてもらう。都議、区議から手を打ってもらう。活動家と幹部でもう一度対応するなど、あらゆる方法を考えFをふやしていく。拡大センターを積極的に活用し、一票をくみとる戦いを展開しよう。
《ブロック推進長のポイント》
1、K○目標の達成。(K○とは活動家と優良活動家とをいいます。)
ブロック開拓表、ブロック友人台帳をもとに、だれがだれを担当するかを決め、目標を達成していく。あやふやな部分は残さない。マンション、団地も幹部が入り、マップをもとにしっかりと詰めていく。ブロック推進長は本当に票になったのかの詰めをしっかりと行っていく。その際に不在者投票や郵便投票も十分考慮に入れ、とりこぼしのないように手を打つ。
2、本番期間関連事項
拠点闘争の開始。ブロック決起大会以降、地区ブロック、地区拠点を中心に拠点闘争を開催すべきだ。ブロック小大会開催。題目根本に勝利のリズムを築くために総区長を中心に各本部別に壮年のブロック長唱題会をする。
こういう形で詰めていくのです。そして毎週、活動の報告をとるのです。例えばこれは十二月用と書いてありますが、○○支部、○○地区、○○ブロック。創価学会ではブロック単位の組織体制になっておりまして、ブロックというのは大体五世帯を中心にした体制です。地区は五十所帯、支部は大体二百所帯から三百所帯になります。その何々支部、何々地区ブロックの「ZU」、「ZU」とは全有権者の略です。その組織内にいる学会員ならびに学会員の家庭でも、お父さんが信心しないとか、おじいちゃんが入信していないという場合がありますので、それは非会員になる。その非会員の分を含めた全有権者です。「NU」とは内部有権者、五人の家族だけれども、お父さんとおじいさんは信心していない。すると三人信心しているからこれは内部有権者「NU」は三票、「ZU」は五票という形になります。
それからK○、優良活動家の目標。Kの目標、Fの目標、現に今K○とKとFが何票あるか、これを毎週書いて提出をして、積み上げさせていく。こういう形でやっていくわけです。
四
一昨年の十二月、宗教法人法の改正を審議している国会の参議院の宗教法人等特別委員会がありました。このときに創価学会の秋谷会長が参考人として出席して、創価学会の政治活動について説明しました。そのとき彼が言ったのは、「創価学会においては政教分離は貫徹をしております。創価学会の選挙活動とは、ごく限られた地域の部分的な活動、限定的な活動でございます」。こういう発言をしたのですが、今ご覧いただいた文書からもわかるように、創価学会は選挙になると半年以上前から綿密なスケジュールを立てて、そして組織活動のすべてを選挙に傾注をしていく、こういうやり方をしているのです。そして先ほどご覧いただいたような衆議院選挙に勝利しようということで、まさに選挙の戦いこそが信心の戦い、法戦の戦いである、こういう活動を続けています。それは昨年の衆議院選挙もそうでしたし、それに負けた現在でも、池田さんの長征の話と、池田さんが、今年も「勇んで楽しく大法戦に向かえ」と、こういうふうに新年の歌として檄をとばしたことに端的に示されるように、政教一体の活動を続けているわけです。
特に今年は年あけ早々の、一月二十六日投票で北九州の市議選がありました。それと合わせて関西では茨木市の市議選がありました。また埼玉県戸田市議選、岡山県倉敷市議選と四つの市議選がちょうど一月二十六日に行われたわけです。北九州はご存じのとおり人口百万を超える政令指定都市ですので、衆議院選挙以後の初の大型地方選挙ということで非常に注目をされていたのですが、これに創価学会は全力投球で臨みました。先ほどお見せした「関西連続勝利で全国に波動を」という池田さんのメッセージは、まさに茨木市議選に対するメッセージなわけです。絶対これに勝ってほしい。それは常勝関西ということで、創価学会のまさに牙城である。その勝利を続けてくれというのが先ほどのメッセージなのです。
先の衆議院選挙では、創価学会が新進党という形で小選挙区選挙に臨んだわけですが、これに敗北した以上、選挙戦術を変えるのかどうかを検証しようと思いまして、一月末の北九州市議選ならびに倉敷市議選を取材をしてまいりました。現地に行っていろいろ回ってみたのですが、全く従来のやり方と変わらない。あるいはそれ以上に激しい政教一致戦術ではないかと思いました。
衆議院選挙では新進党を応援したわけですが、新進党候補の中にはむろん非会員の候補もいるわけです。ですからそういうところにはあまり力を入れなかった。どちらかといえば、新進党を前面に出して、創価学会は後ろに下がる形で選挙を進めましたので、ベタベタの政教一致でやったというケースはやはり学会員の候補のところだけだったのです。あとはちょっと引いた形で、むしろ我々は政教分離の姿勢ですよということをPRするような形での選挙戦を行いました。これに対し今回、地方選挙はすべて学会員で占められている、公明を応援する形になるわけですから、激しい政教一致の姿勢をそこで見せておりました。
私は一月二十六日の二日前から、土曜、日曜と北九州に入ったのです。北九州にはいくつかの創価学会の会館があり、中心は北九州文化会館という会館です。そこに朝から、鹿児島、熊本、宮崎、九州全域、山口県あるいは島根県というようなところから車が次々に入ってきて、二人連れ、三人連れのおばちゃんとか男女のペアが降りてきて会館の中に入っていくのです。そして十分か十五分ぐらいすると何か手に白い紙をもって出てきて、また車に乗ってどこかに消えてゆく。何かなと思って学会の会館に入っていった。入っていきましたら、北九州文化会館の玄関には、「遠いところご苦労さまです。地図は二階で配付しております」と書いてあるわけです。同じく小倉南文化会館という北九州文化会館に比べると小さい会館ですが、そこでも同じような光景が見られ、玄関には「遠いところご苦労さまです。地図は一階奥のしょうぶの間で配付しております」とはり出してありました。要するに鹿児島とか宮崎とか全九州から動員されてきた学会員は地理がわからない。自分の友人なり知己なりがいても地理がわからないわけです。それを地元が全部住居表示地図から細かい地図をつくって、それを配布してFをとりにいかせる。こういう形をとっているのです。ご承知のように公職選挙法では戸別訪問は禁止されています。ですからこういう学会員の行動は、明らかに公職選挙法に抵触する選挙違反になるわけですが、彼らはそれを宗教活動ということに名を借りて、公然と白昼やっているのです。当然これは茨木でも同じことが行われていたと思います。
私は北九州に入る前に倉敷にも参りました。と申しますのは、倉敷はご承知のように自民党総裁橋本龍太郎氏の地元です。昨年来、創価学会は自民党にも接近をしており、倉敷市長選あるいは岡山県知事選、さらにはその前の京都市長選等々、かなり創価学会とバーターをする、あるいは選挙協力をする動きがあったものですから、倉敷も見にいってみましたら、やはり同じように広島から大量の学会員を動員をして激しい活動をしておりました。
特に倉敷に池田講堂という学会の大きな施設があるのですが、そこに参りましたら、ちょうど決起大会、幹部会、地元の勤行会をやっているときにぶつかりました。見ていましたら、次々と車で学会員がきて中に入っていきます。入口で必勝の鉢巻きを配って、全員必勝の鉢巻きをつけて入っていきます。私は中にはむろん入れないので外でちょっと聞いていたら、きれぎれにスピーカーから、今度の倉敷市議選は、邪教日顕宗に鉄槌を加え、とどめをさすための戦い、断然勝利してまいりましょうというような幹部挨拶が聞こえてきました。
まさに政教一致、激しい選挙を繰り広げているわけですが、そういうことを証明する一つとして、これは平成四年の統一地方選挙の鹿児島市議会議員選挙のときに、鹿児島県の創価学会の副会長ならびに県長が鹿児島の学会員に対して出した指示文書、激励書を紹介しましょう。これは当時鹿児島市議、公明党の元県議だった山口優さんという方が創価学会を脱会して、日蓮正宗の鹿児島の西大宣寺という寺の法華講になっていたわけです。この方が鹿児島の市議選に立候補していたのです。そういう市議選に対する創価学会の鹿児島の副会長ならびに県長の文書なわけです。どんなことを書いているかといいますと、こうあります。
毎日の活動、本当にご苦労さまです。創価ルネッサンス元年もいよいよ三月を迎え、四月十九日の鹿児島市議選の投票日まで五十日を切りました。今回の法戦は――ここでも法戦といっているわけです――第六天の魔王と化した日顕およびその一派に対する学会正義を証明する絶好の舞台であります。宗門の権威、権力をはじめ、すべての権威に対して、民衆のために、民衆の幸せを勝ち取る、民衆の総決起の法戦であります。ご金言にも「邪法の僧らが方人して智者を失なわんときは、獅子王のごとくなるも、心をもてるもの必ず仏になるべし」とあります。天魔が恐れるのは、団結した仏の軍勢であり、一人決然と立った地涌の戦士であります。だからこそ天魔はあらゆる邪知を練り、策謀を重ね、姿を変え、声を変え一人立つ地涌の戦士の生命力を奪わんと襲いかかってきます。まさに脱命者の働きであります。そのときこそ仏法勝負のときであり、今こそ獅子王のごとくなる心を奮い起こす地涌の菩薩としての本地をあらわすときであります。反逆の徒と化した山口優は、こともあろうに自民党に所属し、西大宣寺の悪侶芦原法雲に魂を売り、学会批判、池田先生批判の週刊誌をもって天魔の手先とおちぶれ果てております。今回の法戦は単なる市議選ではありません。広宣流布を阻まんとする日顕とその一派に対して、断固たる正義の剣をふるい、天魔の息の根を絶つ天王山の戦いであります。今こそ鹿児島県全県下の地涌の戦士が総立ちし、全軍挙げて天魔退治を堂々となしとげ、鹿児島市を仏の軍勢で覆いつくそうではありませんか。今まさに生命のルネッサンスのとき、このときのために久遠より誓い生じた我ら、「一生むなしく過ごして万歳悔ゆることなかれ」とのご金言を身に帯し、敵の票を一票残らず取り尽くし、見事なる大勝利をもって、鮮やかに三色旗を我が市の空高くひるがえそうではありませんか。ご健闘を心よりお祈り申し上げます。
平成四年三月一日 創価学会副会長 山田三郎
鹿児島県長 浜田憲司
こういうことでやっているのです。まさに今回の北九州市議選ならびに倉敷市議選もこういう形でやったわけです。それはこの大阪の茨木市議選も同じだったのです。
五
先ほど申し上げましたように彼らは、自分たちが政権をとると生活者の政治がくるのだとか、人権を守ったよい世の中になるのだ、こういうようなことを申しますけれども、そんなことは全くの詭弁、虚偽でありまして、実態はここにあります。自分に敵対する者はすべて弾圧してやまない。こういうまさに独善ファショとしかいいようのない姿が創価学会の実像なのです。
そういうものの一つとしてご紹介させていただきたいのは、先ほどお配りした文書の二枚目を見ていただきたいのですが、ここに「日顕撲滅題目表」というのがあります。これは何かといいますと、ご承知のように平成二年の暮以来、創価学会と日蓮正宗は対立関係に入りまして、平成三年十一月には、日蓮正宗が創価学会を破門いたしました。 それに合わせるように創価学会では、それまで「御法主上人猊下」といって尊崇していた阿部日顕さんを、「天魔日顕、色魔日顕」、こういう形で激しい攻撃を始めて、「打倒日顕宗」ということを、彼らの一つの宗教的な命題に掲げているわけですが、そういう活動を示すものです。左側に「地区別 日顕撲滅委員会の結成について」、これは先ほど申し上げました五十世帯を単位とする地区に、「日顕撲滅委員会」とか「日顕宗撲滅委員会」というのをつくらせる、その指示文書です。
どういうことをいっているかというと、
日顕宗は、今、御本尊授与によって――これは創価学会が、平成五年秋に、それまで大石寺から下付されていた本尊でなく、自分で自前の本尊をつくり始めたわけです。これは日蓮正宗から約二十カ寺が創価学会との対立の過程で宗派を離脱をしたのですが、そのうちの一カ寺である栃木県小山の浄圓寺という寺に大石寺教学を完成した江戸期の大石寺二十六世堅樹院日寛という学匠がおりますが、その堅樹院日寛があらわした本尊を形木本尊として印刷をしたものを学会が配り始めたのです。そのご本尊授与によって――決定的な打撃を受けており、断末魔のあがきをさまざまにしようとしている。それは第一線の人たちに脅しをかけて、揺さぶろうという最後のあがきとなって現れようとしている。
最新の情報によれば、日顕宗から学会員あてに、「ハガキ」(郵送用)「カード」(配布用)を大量に送りつけようとしている。
こういう形で書いてあるわけですが、これに対して各地区に「日顕撲滅委員会」を設ける。ネーミングは各地区でそれぞれ考える。おもしろおかしく、笑いとばしながら打ち返していく。(パトリオット委員会、徹底してやっつける会とかと、)「こういうことで、こういうふうにやれ」と書いてあるわけです。
それと共にやらせたのが唱題です。「日顕を撲滅するための唱題をしよう」ということで唱題表を配った。「一枡二十分です。日顕の似顔絵です。一枡二十分でぬりつぶす。色は黒がよいでしょう。百万遍あげれば日顕は真っ黒になり、消えてなくなります。憎しみを込めてぬりつぶしましょう」と書いてあります。
先ほど片上公人の唱題表をお見せしましたけれども、それと同じように、これを黒くぬりつぶすと日顕さんが黒く消える、そういうふうにやろうと。まさに怨念の題目です。こういうことを平然と学会ではやる。さっき池田さんがビデオの中で「題目です。バーン」といっていましたけれども、それをこういうふうにやらせる。
この日顕宗撲滅ということについて申し上げると、ちょうど大阪ででた指示文書に大変ひどいものがありますので、これをご紹介したいと思います。これは大阪の東住吉区にある東本部という学会の組織がつくった「日顕宗撲滅のためのマニュアル」です。「勇気のエンジン大作戦大綱」と書かれています。関西代表者協議会で、池田さんが「勇気のエンジン」というふうに言ったらしいのです。これをネーミングにつけているわけです。活動期間は平成四年四月と書いてあります。「テーマ、御供養泥棒、漆畑行雄、その袈裟を剥ぎ返せ」というのがテーマになっています。これは「関西最高協議会のスピーチより」と書いてありますから、池田さんがさっきのような調子で、「御供養泥棒、漆畑の袈裟を剥ぎ取れ」というようなことをたぶん言ったのでしょう。それをそのままここにネーミングしてあるわけです。「目的、極悪日顕の手先、法住寺――漆畑さんの寺です――の漆畑行雄の悪行を白日のもとに晒し糾弾する。会員を悪の手先から守りぬき、断じて寺には行かない、行かせない」。
ということでどんな活動をするかといいますと、まず「D作戦チーム」といいまして、カットされたら取り返す。脱会者を取り込みアタックする脱講チーム。学会をやめて法華講に入った人間は脱会といいますが、今度は法華講を脱講させるためにD作戦をやれと。それから「特別個人指導班、A班」、葬儀、法要、墓、納骨の問題等に回答できるスペシャリストチーム、要するにこれまでは日蓮正宗の僧侶を呼んでお葬式や、法事をやっていたわけですが、それは全部不必要だと。日蓮大聖人は一切葬儀をしていなかった。だから在家の者は友人葬、同志葬という形で葬儀を営むことが本来の仏教の葬儀のあり方だと、学会は日蓮正宗と喧嘩したとたんに言い出した。それまではお坊さんを呼んでいたのですが、とたんに呼ばなくなった。ではなぜ呼ばなくなったのかを説明する班をつくれと。
それから「B班、宗門問題解決班」。寺信心の色のついた人の脱色作業を行う、別名「ハイターチーム」。次に「フォーカスチーム」、漆畑行雄、女房・所化の悪行を暴くネタ取材班。「賢者の利剣チーム」(ミニコミ誌・仮称「利剣」を新たに編集発行する)。次は「特攻野郎Sチーム」、男子部の特殊潜行活動班、別名「鉄砲玉」。次は「ワイフキャッチャーチーム」、女房を徹底糾弾する婦人部の追っかけチーム。「四条金吾チーム」。壮年部の特別抗議行動チーム、別名「八九三部隊」、八九三は「やくざ」と読みます(笑い)。それから「十羅刹女チーム」、婦人部の電話抗議行動チーム、別名「極道の妻たち」。「ネットワークチーム」、寺周辺地域の包囲対策作戦、略称「ネット」、要するにお寺の周りに、あの寺の坊主はこんな悪い人ですと言い回るチームです。それから「パトリオットミサイルチーム」、いまだに来る寺からの郵便物の回収作業班。それから「ナポレオングループ」、「前進」を合い言葉に、不可能を可能にする唱題会の推進グループ。廃案になったけれども、名称「藁人形グループ」と書いてあります。これはさっきのように「日顕撲滅」を藁人形に対してやれと勧めるチーム。こういう形でやれと指示しているのです。
こういうことをしている連中が本当に人権をまもるのか、こういうふうに私は言いたいのです。特に今は日蓮正宗を創価学会は目前の敵としておりますけれども、ではそれは日蓮正宗にとどまるのかという問題になるわけです。創価学会という教団は、先ほど見ていただいたような文書からも分るとおり、正に独善的で独裁的な全体主義の異常な集団だと私は思っております。したがって、そこに与しない者に対しては、日蓮正宗に対するのと同じような攻撃を平然としていくのではないか、こういう危惧があります。しかもそれを創価学会がもつ巨大なネットワーク、あるいは人的なパワーにおいて行ってくれば、オウム真理教がたった一万人であれだけの異常なカルト教団であったわけですけれども、創価学会はオウムよりもはるかに多くの人材を擁しているのですから、危険性はその比ではない。先ほど創価学会は合法的な選挙によって政権を取ろうとしたと申しましたけれども、創価学会はそれとともに「総体革命戦略」という戦略を通じて、日本の国家社会を掌握をしようと考え、着々とその準備を進めてきました。
六
冒頭に申しましたように、私は創価中学の一期生として入りました。一期生ということで池田さんから我々一期生は非常に嘱望されまして、よく一緒に指導してもらったり、飯を食ったりする機会もあったのです。そのときに池田さんが常に言っていたのは、「天下を取ろう」ということです。ちょうど私ども中学生が一期生二百人、それから高校の一期生が三百人と、五百人だったものですから、昭和四十三年九月にグランド開きがあったときに、池田さんとみんなで会食をしました。そのとき池田さんが、彼は学会では現代のご本仏ですので、こんな話をしました。今五百人いると。法華経には「五百弟子授記品」というのがある。だから今自分がその例にならって諸君に授記を与える。必ずこの中から総理大臣も出るし、国連の事務総長も出る。それから大学者も出るなどとご託宣があった。それを受けて創価学園の教師たちは、我々に何をいうかというと、師匠の言葉を虚妄にすることは許されない。池田先生は日蓮大聖人の再誕、現代のご本仏です。まさに日蓮大聖人が釈尊の法華経における末法の上行再誕を自らが証明なされたように、池田先生の言葉を虚妄にすることは許されないのだ。だからおまえら勉強しろ。勉強して各界に入っていって創価学会の広宣流布のまさに手駒になれ。池田先生の広宣流布の先兵として戦うのがおまえらの使命だと、徹底して我々は吹き込まれたのです。
その連中が今、政界から官界、司法界、マスコミ界、いろんなところに入ってきている。例えば私と同期だった大口善徳君という創価学園、創価大学出身の今新進党の代議士がおります。彼は旧静岡一区から公明党として立候補して当選し、先日の小選挙区でも劣勢だったのですが、僅差で当選をした男です。彼は弁護士です。弁護士で創価学会の静岡県男子部長をしていた男ですが、これが平成五年の衆議院選挙に初めて立候補したときに、創価大学で行われたOB会の席上決意発表をした。創価大学では毎年五月と十一月にOB会を行います。そのOB会の席上、その年の都議選と衆議院選挙に立候補するOBを全員壇上に並ばせて決意発表させたのです。全員が池田先生のことを、創価大学の創立者というのですが、「創立者のご構想実現のために何としても勝たせて下さい」とか、「創立者をおまもりするために何としてもこの選挙を勝たせて下さい」というような決意発表をしたわけです。そのとき大口君は静岡の大石寺、日蓮正宗の地元になるのですが、何と言ったかというと、「日顕宗を撲滅するために当選させて下さい」、こういうふうに挨拶をしたのです。
弁護士というのは社会正義を実現する。憲法の信教の自由をまもることも義務づけられているものですが、その人間が平然と日蓮正宗を撲滅する、まさに宗教的弾圧をかける、それを代議士になってかけるというわけですから、これは政治権力をもってするという意味でしょう。それを平然と公約して政界に進出していって、現に代議士となっているという実態があるわけです。
こういうことは今さかんになされております。例えば創価学会は日蓮正宗が反社会的宗団であるということをPRするために、墓地、納骨堂の問題について全国各地で盛んに告発を続けました。これはお寺にはもともと納骨堂というものがあるわけですが、後に条例とかいろんな形で、広さだとか、例えば民家から何百メーターは離れるとか、あるいは墓地であれば道は何センチ以上でなければいけないとか、いろんな細かい規定があるわけです。こういうことに違反といいますか、先にできてしまっているわけですから、後にできた法規あるいは条例と現実に齟齬をきたしているというケースがいくらでもあるわけです。またお寺を新築あるいは改築したときに、納骨堂を大きくしたけれども、それを自治体の知事の許可を得ずにそのままやっていたというケースもままあるわけです。ところがそれを要するに墓地埋葬法違反だとか、都条例違反だとかいって、学会が警察に告発をしたのです。そしてそれを大々的に『聖教新聞』で書くとともにマスコミにのせて、日蓮正宗はこんなに反社会的宗団なのだということを徹底的にアピールしたのです。
そのときに、知事や自治体に、公明の市議とか区議とか県議から圧力をかけさせていたわけです。例えば東京の品川区に日蓮正宗においては古い寺で妙光寺という寺があるのですが、そこでもやはり墓地・納骨堂の問題と、お墓を改葬して都条例にひっかかる道の問題があったのです。それを公明の品川区議の鶴尚さんという方が、検察に告発するとともに保健所に乗り込んで、そこの査察調査をさせるわけですが、その報告文書があるのです。これは創価学会の品川の総区長の平井武夫という副会長あてに出したものですが、平井副会長様あて、鶴尚と書いてあり、「妙光寺に対しては徹底的な調査をするように保健所に申し出てありますのでご安心下さい」と書いてあります。そういう形でやる。それを受けて品川の保健所の職員が徹底してやるわけです。そういう構造が現実にでき上がってきているのです。
東京東村山の女性市議で朝木明代さんという方が、学会員でも日蓮正宗の関係者でもなかったのですが、地域の住民相談をしている中で、創価学会は非常におかしなことをしているということで、創価学会の問題に対して強い関心をもって、学会の問題を市議会で取り上げられていました。この方が一昨年、突然東村山の駅前のビルから転落死をするという不可解な事件がありました。私は東京の東村山の出身なものですから、その取材をずっと続けて、昨年も『文芸春秋』に書いたり、あるいは一冊の本にまとめたりしたわけです。
そのときにつくづく恐ろしいなと思ったのは、朝木明代さんが亡くなる前に、「万引き疑惑」というのが持ち上がったのです。その女性市議が千九百円のTシャツを万引きしたという疑惑が出た。これを東村山警察署がすぐ書類送検をして地検にかかっていたわけですが、この方は自分の議員歳費が議員同士のお手盛りで値上げをされると、それを全部返還するような方で、その返還した額が八年間で一千万円になるような潔癖な方だったのです。ご主人も銀行の支店長ですからお金にも困っていない、とてもそんなことをするような人ではなかったのですが、そういう疑惑をもたれた。
その事件を担当していたのが、創価大学OBの信田昌男君という検察官だったのです。最初はわからなかったのですが、朝木さんが亡くなって、その事件も担当していたのが信田検事だった。いろいろ取材をしている中で、どうも信田というのは学会員なのではないかという話がでてきました。それでもしやと思って創価大学の名簿を調べたら、はっきりと信田昌男と書いてある。彼は池田大作氏から非常に嘱望されていた男であって、前の公明党の委員長である矢野絢也さんの秘書を妻にしているまさにバリバリのエリート学会員だったわけです。それが創価学会員に敵対をしている女性市議の万引き疑惑事件と、怪死事件を担当をしていたのです。
さらに、東京地検八王子支部の信田検事を指揮する支部長検事は、吉村弘さんといって、創価学会の副会長の妹を嫁にもらっている、細川内閣で郵政大臣をやったあの神崎武法氏とほぼ同格のバリバリの学会員検事さんです。ですから朝木さんの事件を担当した八王子地検は支部長検事もバリバリの学会員、そして担当検事も学会員だったのです。こうしたシフトで、創価学会に反対している人間の事件が解明されるのか。とてもできないという状態がわかってきたのです。
これはオウムで考えていただければおわかりだと思うのですが、例えばオウム真理教の事件にはいろんな事件がありましたけれども、そのうちの一つをオウム真理教の信者の検察官が担当していることが明らかになったら、これは大問題になって、マスコミも大いに書きたてるはずですが、朝木市議の死亡事件を学会員の検事が担当していた。しかも上司も学会員であったということがわかっても、どこも書こうとしない。一行もそれは書かれませんでした。それを書いたのは『週刊新潮』と文芸春秋の雑誌『諸君』をはじめとする雑誌ジャーナリズムだけだったのです。新聞それも全国紙は一切書かない。それはご承知のように、マスコミ、特に新聞、テレビというのは、創価学会の巨大な金の影響力のもとに、ほとんど逼塞状態になっているからです。
創価学会は今、五百五十万部という日刊紙『聖教新聞』を発刊しています。これは読売・朝日に次ぐ第3番目です。毎日を凌駕する巨大新聞なのです。読売も毎日も朝日でも、みな印刷所をもっているわけですが、創価学会は印刷所をもっていない。お金がありますから当然印刷所をもつことは十分できるのですが、印刷所をもたないのです。それはなぜかといえば、五百五十万部という新聞を刷らせることによって、利権を与えることで新聞を拘束している。例えば毎日新聞には東日印刷という子会社があって、そこで『聖教新聞』と『公明新聞』を印刷しています。『聖教新聞』はいくら刷っているかわからないのですが、『公明新聞』に関してのみ分かります。というも、公明は政党ですので、政治資金の収支報告書を出さなくてはいけない。そこに「公明新聞の印刷代」というのが書いてあるわけです。それを見ますと、大体毎日は年間百億以上、『公明新聞』だけで印刷代が入っている。それにプラスして、今度は『公明新聞』の何倍もある『聖教新聞』で利益を与える。そして政治資金収支報告書を見ると、北は北海道新聞から南は鹿児島新聞、琉球タイムスまで、各地方のマスコミ、基刊紙はすべて公明新聞を刷っているわけです。当然そこでは『聖教新聞』も刷られているのです。
それと同時に、一般紙をお読みになるとおわかりだと思いますが、ときどき池田大作氏の著作物の宣伝が全面を使ってでています。これはばかにならない大変な金です。それから昨年は読売新聞が池田大作さんの『私の世界交遊録』という池田本を出版しました。これは一説によるとかなり売れまして、純益だけ十億円だという話です。そういう形で莫大な利益を供与する。同時に創価学会の記事を書くと、組織的な圧力があり、面倒くさいということもあって、新聞は創価学会の記事は書かない。テレビは新聞の、例えばテレビ朝日は朝日新聞のいわば子会社のようなものですから、その意向のもとでやらなければならないということになります。ましてや創価学会はご承知のように年間三千億ともいわれる財務を集めまして、それを東京三菱銀行をはじめとする、さまざまな銀行に預けることで、金融界に強い影響力をもっている。その金融界、あるいはゼネコン等々を使うわけです。コマーシャルというものが、つまりスポンサーの影響力が、テレビ界では非常に大きい影響力をもつ。その辺からも圧力をかけてくる。そういう状況になっているのです。
また新聞界、テレビ界でも、先ほど申しました「総体革命路線」という彼らの戦略の中から、さまざまの創価学会の子弟が入っているわけです。私が知っている人間でも、例えばフジテレビの報道局の部長をやっていた沢さん、今ニューヨークの支局長になっていますが、彼はバリバリの創価学会員で、埼玉の浦和高校から東大に行って、そのままフジに入ったという秀才ですが、彼がかつて政治部記者をやっているときに、福田首相当時だったのですが、首相番記者として外遊に同行したのです。そのときの相手とのメモが、福田首相がだれと会って、どんな話をしたかというメモを、学会の池田さんを囲む懇親会のときに細かく秋谷会長に報告している姿がありました。
そういう形で、さまざまなところにネットワークされた人間がすべての情報を創価学会にあげる。その創価学会の意向を受けてまた動いていく。こういうシステムができあがってきています。
七
創価大学には国家試験研究室というのがありまして、司法試験、国家公務員上級職試験、外交官試験、公認会計士試験、税理士試験、マスコミを受験する人間を徹底して訓練していくという体制ができあがっていますし、全国で約十万人の大学生を統括する学生部という組織があるのですが、ここには法学委員会という組織が設けられています。優秀な学会員の子弟を徹底して鍛えて各界に送りこんでいく。こういうシステムができあがっているわけです。
そういう動きの一貫として明らかになったのが、外務省に対する依頼文書です。これはどういうものかと申しますと、創価学会の原田稔という本部事務総長をしている副会長から、「池田大作さんの外遊にあたって、外務省が便宜をはかれ」ということを要請した文書です。ちょうど池田さんは先週は香港に行っておりまして、今は沖縄にきておりますが、一九八八年一月に、池田さんは香港からタイ、シンガポールからマレーシアと四カ国を外遊したことがあった。それに対して『ザ・ソウカガッカイ』というニュースレター、公式文書で要請をしているのです。どんなことをいっているかといいますと、何人行くとか、いつから行くかというのがずっと書いてあります。香港大学に行って図書贈呈をするとか、例えばタイへ行ってプミポン国王と会見をするとか、あるいはチュラロンコン大学で図書を贈呈するとか、マレーシアにいってマハティール首相と会見をするとか、いろんなことが書いてあるわけです。そういうことが書いてある最後に、「各国訪問の折りには、先発メンバーより大使館、総領事館と適宜連絡を取らせていただきます。各国大使館、総領事館におかれましては、入国・出国の際の空港内の特別通関等の便宜供与をよろしくお願いします」、と書いてあるのです。池田さんが行ったときには、「外務省から大使が出迎えをして、税関をフリーパスにしろ」と言っているわけです。これが学会の原田稔副会長が、当時の外務省官房長の小和田恒さん、あの皇太子妃雅子さまのお父さまに対して宛てた文書であります。そして現実にどうなったかといえば、私が調べましたら、香港、タイ、マレーシア、シンガポール、すべての国の入国と出国のおりに大使か総領事がきて出迎え、見送りをしております。
私もアメリカに、先ほどのロサンゼルスもそうですが、取材に行ったときも、現地のマスコミ関係者等と会ったときに、池田さんがアメリカに行くと必ずロサンゼルスの総領事がリムジンで迎えにきて、その車で送り届ける、こういうふうにいっておりました。
ご承知のように宗教法人は、税制をはじめとして大変大きな優遇を受けているわけですが、その一方で憲法二十条一項で、いかなる宗教も国から特権を受けてはならない、こういう規定を受けているわけですが、外務省による便宜供与という事実は、特権にならないのかどうか、大いに問題だなと思うわけです。
この池田さんに対して便宜をはかっている外務省には、キャリア外交官から、いろんな在外公館の現地採用組を含めると、約三百人の学会員が勤務しておりまして、「大鳳会」という秘密組織までつくっているのです。同じような組織は、外務省ほど多くはないのですが各省庁にございます。しかも海外公館の出先機関、例えばJAICAとか、そういうものが創価学会のある意味では温床になっている部分があるのです。例えば一昨年池田大作さんは、ネパールのカトマンズに行きました。国立トリブバン大学で名誉博士号を受けたり、国王と会見するなどしたわけですが、そのネパールSGIの事務所が、我々が調べると何とJAICAの事務所と同じだった。JAICAのメンバーが創価学会の現地責任者になっているわけです。あるいはこれは南米のパラグァイもそうでした。南米のパラグァイでブラジルの一乗寺に在勤する日蓮正宗の僧侶がパラグァイにも法華講の講員がいるので、その指導にパラグァイに行ったら、空港で取り囲まれて暴行を受けたのですが、その責任者が何とパラグァイのJAICAの副代表だったわけです。そういう在外公館、あるいは外務省の傘下の組織の責任者等には創価学会員が非常に多いのです。例えばODAなどで海外に融資をする、そのときに創価学会員を優先して融資の対象にする。在外の在留邦人に対する支援策を創価学会の布教拡大のために利用している。こういうような状況もでき上がってきています。
これはもう当然日本国内でも同じことがやられております。地方議会、先ほど市議選の話をしましたけれども、日本全国の地方自治体の大半では、公明がキャスティング・ボートを掌握しております。これが右につくか左につくかによって、人事、予算、条例がすべて決まるというような状況ができあがっているわけです。
ですから例えば先ほどの東京の東村山の件でも、警視庁は全く動かないわけです。昨年七月には検察官が学会員であるということを受けて、警察庁が警視庁に対して再捜査の指示を出したのですが、警視庁は全く動かなかったのです。なぜかといえば、都議会に公明党は二十五人おりまして、ここで予算、人事、すべてを掌握をしているわけです。公明が賛成しなければ東京の警視庁の予算は議会で通らないのです。あるいは警察署長の人事すらも通らない。ですから警視庁は創価学会の方だけ向いているわけです。現場の副署長とかその辺も創価学会とことを構えると自分が出世できないものですから、学会問題をなあなあにしている、こういう構図ができあがってきています。
そういうところでは、例えば東京でいえば都営住宅の優先入居であるとか、あるいは中小企業、零細企業に対する特別融資枠であるとか、いろんな公共のいわゆる福祉に関連した予算があるのですが、それを自分たちの勢力拡大のために利用しているわけです。
それがとりもなおさず、宗教的な意味では現世利益の保証になっている。学会員になって一生懸命やれば必ずよくなりますよという背景に、そういう公共事業あるいは公共予算を使ったような形での現世利益の保証というのがある。
ですから一旦学会の中に入って、先ほどご覧いただいたああいう異常な世界の中に、例えばさっき申しましたフジテレビの沢さんにしても、浦和高校・東大と秀才なのですが、そういう人間が創価学会の異常性をなぜおかしいと思わないのだろうか。あるいは東京地検八王子支部支部長の吉村検事も、なぜああいう姿を実際に見ていて、疑問を感じないのかというと、そこでおとなしくしていれば、あるいは池田さんのために働いていれば、将来は大臣にもなれるかもしれないという形で、自分の現世利益が保証されているわけです。また自分の人生をかけてきた。それがおかしいと思ったら自分の人生はむだになってしまったと思わざるを得ない。そういうことに対するおそれとか、いろんな意識があって、創価学会から離れられないのです。
とにかく今申しましたように、異常な世界ですが、私も例えば創価学会にこうやって批判的な言論活動をしておりますと、それを激しく攻撃されたり批判されたりします。特にひどいのが尾行です。ごみをもっていったり、無言電話とかいろんなことがあるのですが、尾行がひどいのです。尾行して常におまえを監視しているぞということです。威圧するのでしょう。そして写真を撮る。写真を撮るのですけれども、ばかなことに自分のメディアの媒体に載せるのです。例えば創価学会に『潮』という雑誌があるのですが、そこに私と今は自治大臣をやっている白川勝彦さんとがあるホテルで、学会の問題について話をしたときの写真を隠し撮りして載せたわけです。そして自民党と乙骨はつるんで、こんな悪いことをしているというようなことを書くわけです。だまっていればよいのに、載せるから創価学会がやったとすぐわかる。それで去年白川勝彦さんが予算委員会で、乙骨や例えばもと創価学会の顧問弁護士だった山崎正友氏、あるいはジャーナリストの段勲氏等に対する尾行、脅迫は、人権侵害になっているのではないかという質問を国会でしました。そしたら当時の長尾法務大臣が、これは人権侵害にあたるというふうに答えてくれたのです。それからしばらく一カ月ぐらい尾行がとまりましたけれども、結局やむことはありませんでした。
八
昨年十一月三日に私は創価大学の大学祭に久しぶりにまいりました。創価大学出身のOBたちが、大学の改革委員会というのをつくって、創価大学を変えていこうということで動きを始めて、当日デモをする、外宣活動をするということだったものですから、その取材に行ったのですが、改革委員会が事前に池田さんに謝罪要求書を出していました。それはどういうものかというと、ご承知のように去年の二月に、もと創価学会の北海道副総合婦人部長という要職にあった信平信子さんという女性が池田さんにレイプされたということを『週間新潮』で告発をして、六月に東京地裁に訴えました。それを受けて「大学の創立者として偉そうに学生に『おまえら、こういうふうに生きろ』なんて人生論をたれているけれども、おまえはレイプ野郎ではないか。レイプ野郎が大学の教育者づらするな。創立者ということで大学にきて演説するのをやめろ」ということを求める文書を出したのです。だけど改革委員会としか書いてなく、貸し事務所の名前しか書いていないものですから、創価学会の方としてはだれがやっているかわからない。当然創価大学にからんで批判するのだから、乙骨の野郎がからんでいるのだろうということで、創価大学の大学祭が始まる一週間ぐらい前から我が家にずっと張り込みがつきまして、ずっと尾行されていました。大学祭当日も私は西武新宿線を利用しており、二駅の利用が可能なのですが、いつもA駅側に行くと、尾行の奴がいてついてくるものですから、今日はB駅から行こうと思って、B駅に向かったのです。その行く道にもちゃんと車が三台待っていまして、私は女房の車で行ったのですが、道を出たらすぐパッと後ろに三台ずっとついてくるわけです。それで私がB駅で降りまして、創価大学は八王子にあるのですが、切符を買って行こうとしたら、その車から若い男子が急いで降りてきて、真っ青な顔をして「どこへいくのか」という雰囲気で私が切符を買っているのをのぞき見て、その後自分も切符を買いずっとついてくる。八王子でタクシーに乗って創価大学に向かうと、また車がいつのまにか後ろについてくる。創価大学を通り越して、その先で私は週刊文春の記者と待ち合わせていたら、その周りにもトランシーバーを持った男たちが五人ぐらい待機していました。外宣活動をした改革委の人たちの話を聞くと、外宣中彼らは前後左右をフィルムをはった車にはさまれて、ビデオを搭載したワゴン車が外宣車の後ろについてずっと撮影をしている。そしてしつように四、五台があとをつけてきてたそうです。逃げようとして、渋滞している交差点にギリギリ赤でつっ込んでも、二台がパッと両側に入って止めてしまう。二台の車がコースを遮断してビデオのついたワゴン車を外宣車の後ろにつけてずっと撮影をするんだそうです。ひどかったといっていました。
まさにそういう形で、自分に敵するものはつぶすんだという執拗な行為を続ける。これが創価学会の実態です。そこが外面では新進党でございますとか、あるいは福祉でございますとか、文化です、教育ですと言いながら、実態はそういうことをしている。
先ほどの池田ビデオを見ていただければ、どんなに彼らが、池田さんは世界平和の指導者である。あるいはグルではありませんが、現代における最高指導者なのだ、人権の王者だといっても、とてもそんなものではないことは明らかです。
そしてもう一つ問題なのは、そういう創価学会が、先ほどから申しあげているように、広宣流布の万年の挑戦ということで、相もかわらず政教一致の選挙活動を続けている。それから、政界再編――今政界は非常に流動的になってきていますが――その中で自らがイニシァチブを発揮していこうという戦略を推し進めていますが、同時に宗教界に対するアプローチを行っているということです。これは私も昨年『諸君』に書いたのですが、一昨年の十一月に創価学会は、「SGI」「創価学会インタナショナル」ですから「SGI」といいますが、そこの憲章を変更いたしまして、創価学会は今後宗教間対話、宗教間協力をやるということをうたったのです。どういうことかといいますと、「SGIは仏法の寛容の精神を根本に、他の宗教を尊重して、人類の基本的問題について対話する。その解決のために協力をしていく」。こういうふうにうたっています。寛容の精神が「日顕撲滅委員会」とどう整合するのかは別として、寛容の精神に基づいて協力をするというのです。
これに基づいて大阪の関西創価学会の広報局の文化部長秋庭洋という人物がいるのですが、彼が天台宗、高野山真言宗、それから西本願寺、立正佼成会大阪教会、天理教、それから兵庫の円応教という新宗連の理事長の深田さんの教団がありますが、そこをずっと周りまして、「これまではいろいろ失礼しました。今後は仲良くやりましょう」とお詫び行脚をした。その中の一つに、どうも日蓮系のどこかの教団のお寺に行ったという話もあるのですが、そこははっきりぼくは確認をしていないのですが、そういう形でお詫び行脚をした。それに合わせるような形で、学会はこれまで「謗法厳誡」ということを建前にして、邪教とは同坐をしないという姿勢をとって、一切排他独善を貫いてきたわけですが、それが「手をとりあいましょう」と、こういうふうに手を変えてきたわけです。
先般も二月七日、八日に学会の本部幹部会がございました。そこで秋谷さんが、これまでの創価学会の入信規定を大幅に変える発表をして非常に注目されております。どんなものかと申しますと、ご承知のように創価学会は、他宗教をすべて邪宗教と見てきたわけです。ですから入信の際には、入信する個人がそれまでに信仰していた、あるいはその有無はともかくとして、他宗の仏具、あるいは神棚等の神具は破棄をする。これを「謗法払い」と言って最重要視していました。これをやめると言いだしたわけです。どんなことをいっているかと申しますと、こういっているのです。
現在各地で折伏布教の勢いが増しておりますが、入会に際しては決して無理があってはなりません。場合によっては会友でもよいし、『聖教新聞』を読むことから始めてもよい。納得のいく指導対応をお願いします。折伏布教にあたって、いくつかの点についてここで皆さんと確認したい。その第一は「謗法払い」についてであります。入会して日蓮大聖人の仏法を信仰するにあたって、第一義は御本尊を拝むことであり、指導の要点は御本尊をしっかりと拝ませることであります。そのために過去に信仰していた対象仏があれば、それを取り除くことを「謗法払い」といってまいりました。だがそのため、過去において未入会の家族や親類等とトラブルを起こしたりする例がときどきありました。そこで「謗法物所有者の確認、本人処分の原則、家族中心者に事前了解」、この三原則の徹底をはかってまいりました。今日の社会にありまして、宗教上の問題でトラブルを起こしたり、事件を起こすことがあれば、その方がはるかに法を破ることになってしまいます。絶対に「謗法払い」等によって事故、事件を起こすことのないように十分に注意してまいりたいと思います。
そこで「謗法払い」については今後次のように考えていきたい。第一に大事なことは、御本尊を拝めることであり、拝めるようにする指導することである、これが根本であります。二番目については、「謗法払い」についてはあくまでも原則どおり、本人処分であることに変わりはありませんが、御本尊を安置するために絶対的前提条件ではありません。「謗法払い」してからでないと御本尊を安置してはいけないという考え方を変え、もっと幅広く、まず御本尊を安置し拝み始める、そういう形にしていきたい。三番目に謗法を取り払う根本の精神は、その対象を拝むことをやめることであります。その具体的な形が信仰の対象になっている神札等を取り除くことであります。したがって神棚や仏具等は今後取り除く必要はありません。以上の点を踏まえて、今後どうか事故のないようにしてまいりたい。
日蓮正宗とけんかになったとき、創価学会は阿部日顕さんを「天魔日顕」と攻撃しました。そう呼んだ一番の原因は、阿部日顕さんの親族のお墓が、彼は福島の出身ですが、福島の曹洞宗の墓地にある。禅天魔ですから、彼らは「天魔日顕」というふうに阿部日顕さんを呼んだ。自分の親戚のお墓が曹洞宗の寺院にあるというそのために、「天魔日顕」と批判したわけです。あるいは大石寺周辺のお宮や八幡宮には御本尊がある。江戸時代の寺請制度によって近在の村は、全部大石寺の檀家になっていたのです。ですからその村のお宮等には、当時の大石寺法主書写の本尊が安置されているわけです。それをとらえて、お宮にご本尊を安置してほうっておいた。謗法を犯している、大謗法だと大キャンペーンをはったのです。それをやっておきながら、今後は神札を祀っておいてもよいのだ。今後は拝みさえしなければご本尊と阿弥陀仏を一緒にかざることは結構だと、実にご都合主義です。
これに先だって去年の夏には、地蔵盆についての話がでてくる。地蔵盆あるいは神社のお祭りといっても、今は習俗化しているから別にそれに参加することもかまわないといいだしたのです。どうしてそういうことをいうのかといえば、先の衆議院選挙では、東京の参議院議員の顔だった元公明党副委員長の黒柳明さんが、東京の深川八幡宮のおみこしをかついだ。ワッショイワッショイと一生懸命かついでいるところがTBSのニュースで報道されました。あるいは福岡十区の旧公明の衆議院議員の弘友和男氏、今回も新進党で出まして落選しましたが、事務所開きの際に、神棚を飾って神主さんを呼んで、自分も玉串を奉納した。要するに、あらゆるものを取り込んでゆかないと、小選挙区では創価学会だけでは勝てないのです。先ほど申し上げたように、どうしても政権を取っていきたい。そのためには何でもやるというのが創価学会です。まさにそれは宗教法人、宗教団体を標榜している創価学会の実態が、本当は政治集団である。このことの証明だと思うのです。
未入信の家族が大事にしている仏具を破棄すれば、怒った家族は公明などには絶対入れないわけです。そういうトラブルを避けて、まあまあ選挙はお願いしますと、こういうふうにしていくために、まさに教義信仰を変えているのが彼らの現状なのです。そういう動きが各教団に対する融和アプローチという形でもなされているわけです。
宗教法人法に反対しましょう、改正に反対しましょうという形で、新宗連あるいはさまざまな教団に彼らはアプローチをして、そのネットワークを広げようとしていったのです。それはとりもなおさず、二十一世紀における宗教界の再編、宗教界のイニシァチブを創価学会が確保していくのだというのが彼らの大きな戦略なのです。
これは今年の一月に出た『大白蓮華』です。これはどういう特集をしているかといいますと、「人間と宗教」ということで、今後の宗教融和についての特集をやっています。ここで創価大学の中野毅さんという教授が、人間と宗教、宗教的なものは、今後は対立ではなくて人類的課題のために融和すべきだと書いています。そして同じく創価大学の石神豊さんが、世界宗教の視点と宗教間対話ということで池田氏の言を引いて、こういうことを書いています。
昨年六月四日ロサンゼルスのサイモン・ウィーゼンタール・センターで池田SGI会長は、「積極的寛容とは他者の立場に立ち、他者の目を通じて世界を見つめ、共鳴してゆく生き方にあります」と講演されました。この他者の立場に立つ積極的寛容の精神で、今後創価学会は他の宗教と融和をしていく、共闘していくというのです。
しかしこれはあくまでもお題目であって、その本意は何かといえば、政権をとっていくためにどういう形で宗教界を味方につけていくか。創価学会、公明では票はとれないけれども、新進党ではとれるわけです。だけど新進党には創価学会員がいるから入れないというのでは困るので、創価学会はその辺を変えようとしているわけです。今新進党はご承知のように混迷状況ですから、今後創価学会はどういう形で政治にリンクしていくかわかりませんけれども、自分たちの内実をそういったふうに変えて、彼らは従来から自分たちが志向している広宣流布、天下取りを執拗に続けようとしているのが現状です。
先ほど来申しあげてきましたように、池田さんから「天下を取ろう」ということで記別も受けたというお話をいたしましたが、当時池田さんはよく、創価学会は内部戦艦、外部豪華客船作戦なのだと発言していました。内部は天下取りを目指す革命集団なのですが、その鎧を見せてしまったら世間は警戒する。だから平和団体です、文化団体です、教育団体ですという形でデコレーションをして、世間が安心するようにカムフラージュして、合法的な手段を通じての政権奪取、あるいは地方議会の掌握、そしてもう一つは、総体革命路線という形で人材を各界に入れていく。こういう戦略を着々と進めているのです。池田さんは「世間があっと驚いたときが広宣流布なんだよ」ともよく発言していました。
しかしご承知のように、昨年の衆議院選挙の結果、創価学会だけでは天下をとれないことがはっきりしました。しかし、昨年の衆議院の選挙で負けたからといって、安心をすることはできない。常にその危険な因子をはらんでいる。それは信教の自由とか人権ということに名を借りて活動しておりますが、その一方でやっていることは、そういう自由とか人権とは全くかけ離れた独善、排他、あるいは反社会的な活動であることをご紹介した次第です。
九
そして最後に皆さん方、日蓮宗のご僧侶方でいらっしゃいますので、口はばったいようですが、一言私の希望として申し上げさせていただきたいのは、こういう創価学会が生まれてきたことの一つの原因に、私は伝統仏教、特に日蓮聖人を仰ぐ日蓮宗、あるいは法華系教団が創価学会の存在を等閑視してきた。自分たちとは住み分けがなされていて、関係がないのだというふうにしていたところに、やはり一つの原因があったのではないかと思うのです。
特に先ほど来見ていただいたように、あの池田大作さんが現代のご本仏、日蓮大聖人だということで、彼が主張する例えば広宣流布観とか王仏冥合観とかあるいは法華経観とか、最近も「大白蓮華」で「法華経を語る」というタイトルで彼の法華経観をるる述べておりますが、彼がたとえ『立正安国論』でも、あるいは彼らの唱える題目にしても、本当にそれが日蓮聖人がおっしゃったお題目なのだろうかということを考えざるをえません。「日顕宗撲滅唱題表」が日蓮聖人が望まれた妙法五字なのか、あるいはお題目総弘通運動を日蓮宗でおやりになっていますが、そのお題目と通ずるものなのだろうか。私は全く違うものだと思います。それは摧尊入卑どころか、大変な日蓮聖人に対する冒涜だと思うわけです。
その池田大作さんなり創価学会で主張する日蓮信仰あるいは日蓮聖人の教えというものが、世間では日蓮の教えだと思ってしまっている部分がかなりあるわけです。私はこれを是正していく、「日蓮を敬うとも悪しく敬はば国亡ぶ」と日蓮聖人はおっしゃいましたが、創価学会はその典型だと私は思っています。そういうことに対してやはりきちんとした監視をし、批判をしていくのが、たとえば日蓮宗の皆様方の一つの役目なのではないか。それは750に向かっての一つの活動であってよいのかなと私は思っております。それとともに、先ほど紹介した宗教対話路線の中で「法華思想懇話会」という会に巧みに接近しています。これは先ほど話の出た中野毅さんが中心になってやっているのですが、ここで天台宗や日蓮宗、あるいは立正佼成会、霊友会、法華系教団の方々を糾合する動きをしております。これは先ほども申し上げたまさに宗教界再編、法華系教団の頂点に自分が立ちたいという野望以外の何ものでもないわけですが、そこに残念ながら日蓮宗の方々でも積極的にご参加になっている方もいらっしゃる。参加されてもよいのですが、そこで激しい批判なり、議論があるのだったらよいのですが、どちらかというと、どうも創価学会側の戦略にのって、唯々諾々とやっておられるような感じがなきにしもあらずなのです。
と申しますのは、この中野さんが「法華思想懇話会」の幹事になって、先般創価大学でシンポジウムがありました。この「法華思想懇話会」でのシンポジウムは、教団の施設ではやらないというのが原則だったのです。それで五反田の「ゆうぽうと」とか、そういう公共施設でやっていたのですが、平然とそれを破り創価大学でやった。東洋哲学研究所が中心になって開催しました。私はそれは非常に危険だと思います。むしろ今こそ七五〇を目指して、日蓮聖人の本来の教えを世界に広く宣説をしていく。その一環としては、誤った日蓮観、誤った法華経観を流布している創価学会を、やはりきちんと批判し検証していく、こういう作業が大事なのではないかなと思っております。口はばったいようですが、あえて一言申し上げさせていただきました。本日はご清聴ありがとうございました。
※本稿は平成九年二月二十七日、大阪市雲雷寺にて開催された第二十八回教化学研究集会にて講演されたものを筆録したものです。
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