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現宗研だより 教団付置研究所懇話会と脳死臓器移植法(その四)
日蓮宗現代宗教研究所主任 髙佐宣長
二十六の教団の研究所で
教団付置研究所懇話会なる組織について、きちんと申し上げないままに、脳死臓器移植法改定に関して昨年七月に行われた参議院の院内集会をめぐって御報告して参りましたのですが、ここで、遅ればせながら、教団付置研究所懇話会について御紹介しておきたいと思います。
恐らく、教団付置研究所懇話会というのは、耳馴染みのない名称でありましょう。とは言え、名は体を表すではありませんけれども、内容そのままの名称ですので、どなたでも大凡の見当が付いていらっしゃるだろうと思います(だからこそ、特に御説明を申し上げるでもなく、言及して来たのですけれども……)。
教団付置研究所懇話会は、文字通り、教団に付設されている研究所の研究交流のための組織です。
「宗教者である研究者が集える領域づくり」を活動目標として、平成十四年に発足し、現在のところ、国内の二十六の宗教団体に設置されている研究所などで構成されています。
御参考までに、二十六研究所を以下に上げてみましょう。
天台宗総合研究センター
曹洞宗総合研究センター
浄土宗総合研究所
西山浄土宗教学研究所
浄土真宗本願寺脈教学伝道研究センター(西本願寺)
真宗大谷派教学研究所(東本願寺)
智山伝法院(真言宗智山脈)
世界仏教徒センター
宗教情報センター(真如苑)
中央学術研究所(立正佼成会)
国際仏教交流センター(孝道教団)
辯天宗 教理研究室
中山身語正宗 教学研究所
神社本庁教学研究所
大本 教学研讃所
金光教教学研究所
玉光神社
天理大学おやさと研究所
陽光文明研究所(崇敬真先)
世界救世教いづのめ教団教学委員会
生長の家総裁室
NCC(日本キリスト教協議会)宗教研究所
オリエンス宗教研究所(カトリック淳心会)
南山宗教文化研究所(カトリック神言修道会・南山大学)
新日本宗教団体連合会
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以上です(順不同。もちろん、これに、現宗研が加わります)。
仏教、神道、キリスト教、新宗教など、広範な宗教教団によって組織されていることがお解り頂けるかと思います(上記一覧は、一往、仏教系、神道系、キリスト教系の順で記載してみました)。
更に、例えば、新日本宗教団体連合会(新宗連)などは、六十九団体が加盟している新宗教の連絡組織ですから、もっと広がりを持つ団体であると言えるかもしれません。
教団付置研究所懇話者の活動内容
教団付置研究所懇話会の具体的な活動としては、年に一度の大会があり、また、三つある研究部会(生命倫理研究部会、宗教間対話研究部会、自死問題研究部会)が年に数回ずつ開催されます。
大会は、関東地区と関西地区との隔年で、それぞれの地域に拠点を持つ研究所が当番事務局となって開催され、今年度は、昨平成二十一年十月九日、横浜市神奈川区の孝道山本仏殿で「自死について」をテーマに開催されました。
年次大会の内容を御紹介する前に、これに先立って、七月三日、西本願寺の聞法会館に於いて、「宗教教義から見た自死」をテーマに開催された、生命倫理研究部会について申し上げておきましょう(自死問題研究部会は、今年度の大会に於いて、新たに設置することが決議されたのです)。
この際は、年次大会に向けての予備的な研修(とともに、これまで述べて参りました、脳死臓器移植問題についての参議院院内集会の打ち合わせ)を目的とした部会であったわけですが、先ず、奈良女子大学の清水新二教授による「なぜ自殺で、なぜ自死なのか」と題する講演があり、それに引き続き、「宗教教義から見た自死」と題して、現宗研、中山身語正宗 教学研究所、曹洞宗総合研究センター、大本 教学研鑽所、金光教教学研究所、浄土宗総合研究所、浄土真宗本願寺派教学伝道研究センター、真宗大谷派教学研究所、天理大学おやさと研究所の代表からの発表があり(、その後、質疑応答などの後、院内集会の打ち合わせがあり)ました。
現宗研からは、顧問の影山教俊師に、「宗教教義と自死についてー自死問題から宗教の社会化を考えるー」と題して発表して頂きました。
師独自の観点からの発表で、他の研究所からの発表者と比して、異彩を放ったものであったと申し上げておきます。
影山師は、御自身で様々な媒体を用いて発言されておられますから、当欄で内容の細かな御紹介をする必要もないかもしれませんので、ここではこれ以上の言及は致さずにおきますが。
さて、平成二十一年度の大会は、孝道教団が事務局となって、既述の通り、「自死について」をテーマとして開催され、二十三研究所から約百人の参加がありました。
内容は、前半は、「教義からみた自死」ということで、浄土真宗本願寺派教学伝道研究センター、金光教教学研究所、NCC宗教研究所からの発表があり、昼食休憩と孝道山内の見学を挟んで、後半は、浄土真宗本願寺派教学伝道研究センター、現宗研、国際仏教交流センターから、自死問題への具体的な取り組みを主題とした発表がなされました。
と、ここで些かお寒い所内事情を申し上げなければならないのですが、実は、現宗研では、現在、自殺・自死問題を研究するプロジェクト・チームを組めておりません。
平成二十一年度から、研究体制を組み換えまして、十六名の研究員各聖に、それぞれ一つずつ研究項目を分担して貰い、嘱託各聖にその補佐・援助をして頂き…、というようなシステムにしたのですが、員数との兼ね合いや、研究員の人たちの専門分野等との関係もあって、「立正平和」「環境問題」「生命倫理」「教団教育制度」「過疎地寺院」等々の研究分担項目の中に、「自殺・自死」を組み込めなかったのです。
そこで、大会事務局より、自死問題での講演・報告を依頼すべき方についての照会があった際、研究所のメンバー(研究員・顧問・嘱託)以外の方を含めて御推薦したのですが、大会事務局から白羽の矢が立ったのは、東京都南部教化センター長で、「自殺対策に取り組む僧侶の会」の事務局長を務められている、吉田尚英師(大田区永壽院住職)でした。
師は、宗門運動本都のいのちの活動プロジェクトの自殺・自死問題に関するアンケートにも参画されておられますが、年次大会での発表の中では、このアンケートについて検討しながら、本宗に於ける自死問題の現状について分析・報告して下さいました。
吉田師には、十一月五日に開催した「教化学研究発表大会」での特別発表を、同様の内容でお願いしましたので、詳細は、本年三月に刊行予定の現宗研所報「現代宗教研究」第四十三号を御参照下さい(「教化学研究発表大会」の内容は、以前、「教化学論集」として「現代宗教研究」とは別に刊行されていた時期があり、現在、それを復刊〔名称は変更したいと考えていますが〕する方向で作業を進めておりますので、所報とは別になる場合もあることをお含み置き頂ければと存じます)。
三つの研究部会
教団付置研究所懇話会の三つの研究部会について申し上げて、小稿の結びに致しましょう。
先ず、生命倫理研究部会。
申し上げて参りましたやうに、参議院院内集会の主体になったのがこの部会で、脳死・臓器移植問題、再生医療問題、医療現場における宗教者の役割、などを研究テーマとしています。
大本が事務局となっています。
これまでのところ、教団付置研究所懇話会の主要な活動はこの部会が担って来ていると申し上げて宜しいかと思われます。
次に、宗教間対話部会。
玉光神社が事務局となっており、諸宗教に於ける救済観、諸宗教に於ける実践などが研究テーマとして掲げられています。
教団付置研究所懇話会そのものが、宗教間対話としての性格を持っていますし、例えば、先の自死問題について、各教団がどう考え、何をしているか、ということを論ずれば、この部会の課題に直結するというような事情の故もあってか、部会としての活動は逆に静かな現況です。
自死問題研究部会は、先述の通り、平成二十一年度の総会に於いて新設されました。
浄土真宗本願寺派が事務局となり、自死に関する情報の共有・提供、自死防止等に関する具体的な社会活動の展開、といったことがテーマとなるようです。
早速、昨年暮れ、十二月二十六日に、準備部会としての会合が開かれました(筆者は出席出来なかったのですが)。
今後は、この部会も活発な活動が予想されますし(、否、そうであろうとなかろうと)、現宗研としても、自死問題への研究体制を整えて行かなければ、と考えているところです。
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