5月3日から22日まで独立行政法人国立公文書館で、平成19年春の特別展「再建日本の出発−1947年5月日本国憲法の施行−」が開かれていました。大日本帝国憲法改正案としての現日本国憲法制定に関する公文書、日本国憲法原本を見ることができました。
その中に、「日本国憲法公布式典において賜った勅語」がありました。両院の議決を経た帝国憲法改正案は、政府原案に対し両院の修正が加わったため、枢密院に再び諮詢、枢密院はこれを可決します。そして、10月29日の閣議において、同年11月3日に公布することを決定します。日本国憲法が公布された11月3日、貴族院本会議場において式典が催され、勅語が下されました。
その勅語原文を、紹介します。
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本日、日本國憲法を公布せしめた。
この憲法は帝國憲法を全面的に改正したものであって、國家再建の基礎を人類普遍の原理に求め、自由に表明された國民の総意によって確定されたのである。即ち、日本國民は、みづから進んで戦爭を放棄し、全世界に、正義と秩序とを基調とする永遠の平和が實現することを念願し、常に基本的人権を尊重し、民主主義に基いて國政を運營することを、ここに、明らかに定めたのである。
朕は、國民と共に、全力をあげ、相携へて、この憲法を正しく運用し、節度と責任とを重んじ、自由と平和とを愛する文化國家を建設するやうに努めたいと思ふ。
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この日本国憲法改正の手続きを定める国民投票法案が、平成19年(2007)5月14日の参議院本会議で、連立与党(自民党・公明党)の賛成多数で成立しました。投票総数221票、うち賛成120票、反対99票でした。衆議院本会議につづく与党多数採決となりました。
平成17年に衆議院憲法調査特別委員会が設置されて以来、国民投票法案と憲法改正案が提示され、賛否ともに大きな論議となるなかで、日本国憲法第96条に定める憲法改正のための手続き法としての国民投票法が、初めて定められました。
国民投票法(日本国憲法の改正手続きに関する法律)は、第1章総則、第2章国民投票の実施、第3章国民投票の効果、第4章国民投票無効の訴訟等、第5章補則、第6章憲法改正の発議のための国会法の一部改正、付則からなります。
第1章第1条(趣旨)で、「この法律は、日本国憲法第96条に定める日本国憲法の改正(以下『憲法改正』という)について、国民の承認に係る投票(以下『国民投票』という)に関する手続きを定めるとともに、あわせて憲法改正の発議に係る手続きの整備を行うものとする」と、この法律は憲法改正に限った国民投票に関するもの、と定めています。
第2章第1節第2条(国民投票の期日)で、「国民投票は、国会が憲法改正を発議した日から起算して60日以後180日以内において、国会の議決した期日に行う」と、定めています。
同第3条(投票権)で、「日本国民で年齢満18年以上の者は、国民投票の投票権を有する」と、現在の満20歳選挙権行使を18歳と変更します。このための他の法律変更については、付則で「必要な法制上の措置を講ずる」としています。
国民投票の執行に関する事務は、特別の定めがあるほかは中央選挙管理会が管理します。
国民投票に関する周知に関して、国民投票広報協議会(協議会)が組織されます。第2節第12条(協議会の組織)で、「協議会の委員は、協議会が存続する間、その任にあるものとする。2 委員の員数は、憲法改正の発議がされた際衆議院議員であった者及び当該発議がされた際参議院議員であった者各10人とし、その予備員の員数は、当該発議がされた際衆議院議員であった者及び当該発議がされた際参議院議員であった者各10人とする。3 委員は、各議院における各会派の所属議員数の比率により、各会派に割り当て選任する。ただし、各会派の所属議員数の比率により各会派に割り当て選任した場合には憲法改正の発議に係る議決において反対の表決を行った議員の所属する会派から委員が選任されないこととなるときは、各議院において、当該会派にも委員を割り当て選任するようできる限り配慮するものとする」と、定めています。
この協議会は、憲法改正案に関する国民投票公報の原稿作成を行います。議事は、定足数を満たした出席議員の三分の二以上の多数で決します。
第3節第55条(投票所においての投票)で、「投票人は、国民投票の当日、自ら投票所に行き、投票をしなければならない」とする一方、第60条で期日前投票を認めています。
国民投票運動について、第7節第100条で、「この節及び次節の規定の適用に当たっては、表現の自由、学問の自由及び政治活動の自由その他の日本国憲法の保障する国民の自由と権利を不当に侵害しないように留意しなければならない」とする一方、投票事務関係者・中央選挙管理会委員等の国民投票運動の禁止、公務員等及び教育者の地位利用による国民投票運動の禁止、投票日前の国民投票運動のための広告放送の制限を定めています。
第8節で、罰則をうたっています。組織的多数人買収及び利害誘導罪、職権乱用による国民投票の自由妨害罪、投票の秘密侵害罪、投票干渉罪、投票事務関係者施設等に対する暴行罪騒乱罪等、多衆の国民投票妨害罪です。
第3章第126条で、「国民投票において、憲法改正案に対する賛成の投票の数が第98条第2項に規定する投票総数の二分の一を超えた場合は、当該憲法改正について日本国憲法第96条第1項の国民の承認があったものとする」と定めていますが、最低投票率にはふれていません。
第6章第151条で、「国会法の一部を次のように改正する。第6章の次に次の1章を加える。第6章の2 日本国憲法の改正の発議 第68条の2 議員が日本国憲法の改正案の原案を発議するには、第56条第1項の規定にかかわらず、衆議院においては議員100人以上、参議院においては議員50人以上の賛成を要する。第68条の3 前条の憲法改正原案の発議に当たっては、内容において関連する事項ごとに区分して行うものとする。第87条第1項中『及び条約』を『、条約及び憲法改正原案』に改める。『第11章の2 憲法調査会』を『第11章の2憲法審査会』に改める。(以下略)第102条の6の次に次の3条を加える。第102条の7 憲法審査会は、憲法改正原案及び日本国憲法に係る改正の発議または国民投票に関する法律案を提出することができる。この場合における憲法改正原案の提出については、第68条の3の規定を準用する(以下略)」としています。
付則第1条(施行期日)で、「この法律は、公布の日から起算して三年を経過した日から施行する(以下略)」と定めています。
同第3条(法制上の措置)で、「国は、この法律が施行されるまでの間に、年齢満18年以上満20年未満の者が国政選挙に参加することができること等となるよう、選挙権を有する者の年齢を定める公職選挙法、成年年齢を定める民法その他の法令の規定について検討を加え、必要な法制上の措置を講ずるものとする」としています。
同第11条(公務員の政治的行為の制限に関する検討)で、「国は、この法律が施行されるまでの間に、公務員が国民投票に際して行う憲法改正に関する賛否の勧誘その他意見の表明が制限されることとならないよう、公務員の政治的行為の制限について定める国家公務員法、地方公務員法その他の法令の規定について検討を加え、必要な法制上の措置を講ずるものとする」としています。
同第12条(憲法改正問題についての国民投票制度に関する検討)で、「国は、この規定の施行後速やかに、憲法改正を要する問題及び憲法改正の対象となり得る問題についての国民投票制度に関し、その意義及び必要性の有無について、日本国憲法の採用する間接民主制との整合性の確保その他の観点から検討を加え、必要な措置を講ずるものとする」としています。
憲法はあらゆる法律の根本法規ですから、その改正となると、各種法律との整合性が問われることになります。
特に前記引用条文の最後三条は、重要です。かつて憲法改正に関する国民投票の手続きを検討しようとしたことがあったそうですが、改憲と誤解されるのを嫌って見送られたそうです。
戦前の大日本帝国憲法と違い、国民を主権者とする日本国憲法の間接民主制としては、直接民主制である国民投票との整合性の問題があったのでしょう。
第一次世界大戦で敗れたドイツは、理想的といわれるワイマール憲法で戦後復興を目指しましたが、ファシズムのナチ党が国民投票によって合法的独裁を得ました。現在のドイツ基本法は、直接民主制をとらず、その改正についても国民投票の規定はありません。
この国民投票法に定める国民投票広報協議会も、憲法審査会も、そして国会も、多数決の原理に貫かれています。国民が選挙で選んだ議員によって国政を執行する間接民主制は、少数意見の尊重が求められます。
間接民主制の欠点は、自分の意見を議員に託す代議制の中にあります。投票率30%の選挙で50%の得票率で当選した議員は、全選挙民の15%の支持を得ただけで、多数の意見の代弁をしていることにはなりません。これは計算上のことですが、代議制の本質をつくものです。多数決の形式論理で物事を進める危険が、ナチス台頭の問題です。
国民投票法が最低投票率を定めていないことを問題とする意見は、このことを懸念するものでしょう。
国民にとって最重要法規である憲法の改正を、国民自身が責任をもって判断する直接投票を採用したのですから、国民の意見ができるだけ正確に反映されるよう、多数決の欠点を補うためにも、最低投票率の設定は必要ではないでしょうか。
憲法は権力を縛り、国民の権利を守る手だてです。この立憲主義が機能するかどうかが、いま国民一人ひとりに問われています。世論の気まぐれで左右される危険があるのですから、主権在民の成熟度、国民の民度が問われています。
訪米中の安倍音三首相は4月27日、ブッシュ大統領と地球温暖化の原因となっている温室効果ガス問題に関する共同声明を発表しました。気候変動問題に消極的だったアメリカが、エネルギー安全保障や代替エネルギー開発など、日本と利害が一致する分野で協調する姿勢を示しました。
地球温暖化を緩和させる方法を検討する国連「気候変動に関する政府間パネル」(IPCC)第3作業部会が5月4日に報告書をまとめました。
この報告書は、温暖化は人間活動に原因がある、とした2月の第1作業部会報告書、気温上昇による影響は深刻である、とした4月の第2作業部会報告書とともに、11月のIPCC総会で統合報告書としてまとめられます。これを承認したうえで、12月の第13回国連気候変動枠組み条約締約国会義にはかり、京都議定書後の対策を話し合うことになります。
この報告書は、原子力発電は核拡散や核廃棄物の問題があるが、温暖化を抑えるため必要な重点技術である、と位置付けています。アメリカは既に原発の新規建設方針があり、ヨーロッパでも原発再導入議論がおこっています。中国とインドでは、数十基の原発新規建設計画があるそうです。
ところが、京都議定書の取り組み開始を来年に控えて、カナダが目標断念を表明しました。アメリカやオーストラリアは、すでに議定書を離脱しています。
朝日新聞5月4日付朝刊特集記事「世界発2007」で、台湾仏教を担う僧侶の四分の三が高学歴の尼僧、と書かれています。台湾仏教を統括する「中国仏教協会」によれば、僧侶を意味する「出家衆」は約2万人で、その四分の三が尼僧、女性のお坊さんです。平成7年(1995)には三分の二だったそうで、12年間で尼僧の比率が一層高くなったそうです。しかも、学歴の高いのが特徴です。
台湾では、男性の出家は以前から少なかったそうです。妻帯が許されないため、男性の出家は「家を絶やす親不孝」になるからだそうです。
台湾の人口約2300万人のうち、仏教信者は約1000万人。この20年間で倍増した「仏教ブーム」。二つの中国問題での不安感もあり、心の安寧を求める気持ちが膨らむ一方、仏教者側は社会活動を積極的に進めています。
「人々の仏教への関心の高まりや『葬式仏教』の抹香臭さと一線を画す社会活動が、やる気のある女性を引きつけているのが現状といえそうだ。李さんや松金さんは『台湾には男尊女卑の風潮が残るが、僧の世界は平等であることも女性の出家を促している要因』とにらむ。台湾の宗教を研究する神戸学院大学の五十嵐真子教授(文化人類学)は『尼僧は高学歴の台湾女性が選択する知的専門職のひとつになってきた』と言い切る」と締めくくっています。
小学6年生と中学3年生を対象にした文部科学省の全国学力調査が、4月24日に行われました。全国一斉に行われるテストとしては43年ぶりで、約3万3千の小中学校で約233万人が対象になりましたが、実際には3万2756校(98.95%)で実施されました。
参加校の内訳は、小学校2万1952校(99.65%)、中学校1万501校(97.54%)、中高一貫教育をしている中等教育学校22校(88%)、特別支援学校(旧盲・聾・養護学校など)281校(99.65%)。国立は154校全校が参加、公立は不参加を表明した愛知県犬山市立の14校を除き、3万2068校が参加、私立は868校の61.52%にあたる534校が参加。
全員調査を打ち切った昭和39年以降も、一部で抽出調査が行われてきましたが、国際学力調査で日本の子どもの学力が落ちていることがわかり、学力の低下が問題になり、今回の全国一斉学力調査実施に踏み切ったそうです。
地域・学校・児童生徒の競争を煽ることにならないか、記名調査になる小学6年生のプライバシーが守られるのか、採点と集計を民間企業が請け負うことの個人情報保護に問題はないのか、などの懸念があがって、議論を呼びました。
朝日新聞5月17日付朝刊によると、全国学力調査の直前に広島県北広島町教育委員会が問題集を作成し、時間配分や解き方を児童生徒に指導するよう、町立の全21小中学校に指導していたことがわかったそうです。