日蓮宗 現代宗教研究所
Nichiren Buddhism Modern Religious Institute
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宗報 平成19年4月号 第229号 改訂 第61号

過去最高の暖冬、都心で最も遅い初雪、身延山五重塔復元、六カ国協議合意、病気腎移植原則禁止、地球温暖化確実、敬語、ピック病万引き、「ダーウィンの悪夢」、葬儀の現状、国民投票法案、森林浴と快適性、町田ファイル、オウム真理数分裂、昭和天皇戦時下の肉声、原発臨界事故、能登半島地震、堀江被告に実刑、改定臓器移植法案、『あかね空』映画化、「千の風になって」
日蓮宗現代宗教研究所主任 伊藤立教 

 過去最高の暖冬
 
 この冬(昨年12月から2月)、気象庁153観測地点の4割余りにあたる63地点で、平均気温が過去最高となりました。
 日本の平均気温も平年に比べー1.52度高く、統計を取り始めた明治32年以降、昭和23年冬と並んで最も高かったとのことです。
 北日本や北陸は記録的な小雪で、20地点で降雪量の最少記録を更新したそうです。
 
 都心で最も遅い初雪
 
 3月16日午前7時頃、都心で初雪が降りました。平年より73日遅れで、明治9年の気象観測開始以来最も遅い初雪となりました。
 
 身延山五重塔復元
 
 身延山久遠寺の五重塔復元工事を請け負う金剛組のことが、平成19年1月26日付朝日新聞経済記事になっています。
 寺社建設1400年の金剛組は、朝鮮半島の百済から呼び寄せた金剛重光を祖とし、金剛利隆相談役で39代となります。
 現在、高松建設の支援を受けながら再生中だそうです。頑固な「志」を持ち続けてきた奇跡的な存在も、企業である以上利益をあげないと存続できないが、「国宝級」の企業文化を失うことなく、再建が進むことを願いたい、と記事は締め括られています。
 
 六ヵ国協議合意
 
 昨年12月以来休会していた北朝鮮問題六ヵ国協議が、2月13日に朝鮮半島非核化合意文書を採択しました。
 初期段階で、北朝鮮は、60日以内に再処理施設を含む寧辺の各施設の稼働停止・封印を行い、国際原子力機関(IAEA)査察官を復帰させ、これに対して各国は重油五万トンを北朝鮮に支援します。
 次の段階で、北朝鮮は全ての核計画の完全な申告と、全ての既存核施設の無能力化を行い、これに対して各国は重油百万トン規模の経済・エネルギー資援を行います。
 日朝国交正常化協議も合意されましたが、日本は拉致問題を取りあげる方針です。
 ※3月22日に事実上決裂、休会を宣言。次回日程、決まらず。
 
 病気腎移植原則禁止
 
 宇和島徳洲会病院(愛媛県宇和島市)の万波誠泌尿器科部長(66)らによる病気腎移植について、日本移植学会など関係5学会は、原則禁止の方針を決めました。がんとネフローゼ症候群の患者からの移植は、絶対禁止とすることで合意しました。万波誠医師らの「患者のため」という主張は、それを疑うような事実が明らかになっています。当初14件としていた市立宇和島病院の病気腎移植が、実際は25件と訂正公表されました。
 病気腎移植に関与したのは、愛媛・岡山・広島・香川・鹿児島県にある10病院。
 
 地球温暖化確実
 
 地球温暖化の科学的根拠を審議する「気候変動に関する政府間パネル(IPCC)第一作業部会」が、2月1日開かれ、第四次評価報告書を承認しました。
 地球温暖化は確実に進み、人間活動による温室効果ガス排出が原因である可能性が高いことを確認しました。
 温室効果ガスの削減と、気温上昇で起こる事態への対応を訴える内容です。
 地球温暖化対策については、アメリカ前副大統領アル・ゴア氏がこの問題を真正面から取りあげた長編ドキュメンタリー映画「不都合な真実」が、2月25日にアカデミー賞長編ドキュメンタリー賞を取りました。
 
 敬語
 
 文化審議会は2月3日、「敬語の指針」を伊吹文部科学大臣に答申しました。
 これまで尊敬・謙譲・丁寧語に3分類されていた敬語が、尊敬・謙譲I・謙譲II・丁寧・美化語の5分類に改められました。
   尊敬語(相手側または第三者の行為・物事・状態などについて、その人物を立てて述べる)
 〈行為〉いらっしゃる、おっしゃる、なさる、召し上がる、お使いになる、ご利用になる、読まれる、始められる、お導き、ご出席、(立てるべき人物からの)ご説明
 〈物事〉お名前、ご住所、(立てるべき人物からの)お手紙
 〈状態〉お忙しい、ご立派
謙譲語I(自分側から相手側または第三者に向かう行為・物事などについて、その向かう先の人物を立てて述べる)
伺う、申し上げる、お目にかかる、差し上げる、お届けする、ご案内する、(立てるべき人物への)お手紙、ご説明
謙譲語II(丁重語ともいう。自分側の行為・物事などを、話や文章の相手に対して丁重に述べる)
参る、申す、いたす、おる、拙著、小社
丁寧語(話や文章の相手に対して丁寧に述べる)
です、ます、ございます
美化語(物事を美化して述べる)
お酒、お料理
 
 ピック病万引き
 
 「ピック病」と呼ばれる認知症になった公務員らが、病状の一つである万引きをして社会的地位を失うケースが相次いでいることが、2月26日付朝日新聞に大きく取りあげられていました。
 脳の前頭葉の萎縮で感情の抑制を失って事件を起こすもので、犯行時の記憶がないのが特徴です。真面目に仕事をしていた人が万引きをしたことに不可解な思いをしたら、専門の医療機関を受診して欲しい、と書かれています。
 ピック病(初期〜中期)のチェックリスト
   まる1状況に合わない行動
場所や状況に不適切と思われる悪ふざけや、周囲の人に無遠慮で、身勝手な行動をする。
まる2意欲減退
引きこもりや何もしないなどの状態が続き、改善しない。思い当たる原因は特になく、本人の葛藤もない。
まる3無関心
周囲の出来事に無関心になったり、身だしなみに気を使わず不潔になったりする。
まる4逸脱行為
万引きなどの軽犯罪を犯すが、反省や説明はできず、繰り返すことが多い。
まる5時刻表的行動・繰り返し行動
散歩や食事・入浴などを、時刻表のように毎日決まった時間に行う。やめさせたり待たせたりすると、怒る
まる6食べ物へのこだわり
毎日同じもの(特に甘いもの)しか食べず、際限なく食べる場合も。
まる7言葉の繰り返し
同じ言葉を繰り返したり、他人の言葉をオウム返ししたりする。
まる8好みの変化
突然甘いものが好きになるなど、好みが大きく変わる。酒やたばこなどは、以前と違い毎日大量にとる。
まる9発語、意味の障害
無口になったり語彙が少なくなったり、品物の名前や使い方が分からなくなる。
まる10短期記憶の維持
最近の出来事などの短期記憶は保たれる。日時も間違えず、外出しても道に迷わない。
(40歳以降に、当てはまる症状が3項目以上出ると、疑いがある。まる4まる5まる7まる9は1項目でも可能性がある。宮永和夫群馬県こころ健康センター所長作成)
 「宮永医師は『万引き後に、ピック病と診断される人は少なくない』と指摘。『病気が原因でやった行為なのに、社会的な名誉を失い、その後の人生が大きく変わってしまうのは非常に残念だ』と話している」
 
 「ダーウィンの悪夢」
 
 平成16年に制作された長編ドキュメンタリー映画「ダーウィンの悪夢」は、同年のベネツィア国際映画祭での受賞をはじめ、数々の映画祭で注目を集めました。
 アフリカ・タンザニアにある世界第2位の淡水湖ヴィクトリア湖は、多様な生態系の宝庫であることから、「ダーウィンの箱庭」と呼ばれていました。そこに半世紀前、大食で肉食の外来魚ナイルパーチ(日本での販売名白スズキ)が放たれました。在来種を駆逐しながら増えて、状況は一変、この魚の加工輸出産業が誕生しました。一方で、悪夢のような悲劇が生み出されていきました。
 湖の周辺には、EUや日本への輸出工場が増え、他地域から労働者が集中、けが人や病人も出て貧困が広がり、エイズも広がりました。親を亡くしたストリートチルドレンは、暴力や空腹を忘れるため、ナイルパーチの梱包材で作ったドラッグを嗅いでいます。魚を運ぶための大型輸送機は、武器を運んでくるという噂もあります。ナイルパーチの膨大な魚肉はEUや日本の食卓に運ばれ、現地人は骨やあらを劣悪な環境で食べています。生態系のバランスを欠いたヴィクトリア湖は、ナイルパーチ漁獲にも悪影響を与えると予告されています。そうなれば、工場は廃墟となり、あらゆるものが収奪されたあとに、貧困だけが残ります。そうならないための対策も、決して環境や住民のためであるとはいえません。
 悪夢のグローバリゼーションは、遠いアフリカの問題ではないと、「ダーウィンの悪夢」は訴えています。
 
 葬儀の現状
 
 2月1日から始まった毎日新聞連載記事「暮らしの中の宗教・葬儀編」は、この5、6年で激変している葬儀の現状を、5回にわたって連載しています。
 火葬だけの「直葬」急増
   葬儀式をせずに火葬だけで死者を送るのが、直葬(ちょくそう)。昨年頃から関東圈で増えている。直葬が2、3割を占めた葬儀社もある。
資産の有無にかかわらず、あえて直葬を選ぶ遣族が増え始めた。葬式仏教と揶揄される仏教だが、葬式でさえも宗教色が薄れようとしている。
 お坊さん派遣
   葬儀社に頼る遺族も多いが、通夜・葬儀に僧侶を派遣する専門会社がある。「紹介不可能無し、当日手配も可能、神道・キリスト教にも対応」とネットで公表している業者は、通夜・葬儀(初七日供養を含む)に対して派遣僧侶に手渡すお布施は、戒名料込み15万円と定めている。関東地方での仏式葬儀のお布施の平均額は5、60万円。高額な金額の根拠が不明なお布施に強い不満を持つ遺族を見て、お布施の定額を打ち出したという。業者には、僧侶・宮司・牧師約200人が登録している。派遣された僧侶と念仏を唱えるうちに、遺族らの警戒心が和らぐという。こうした葬儀の依頼が月平均7件ほどある伝統仏教寺院副住職は、寺の収入も月約90万ほど増えたという。「これからは寺という建物がなくなっていくだろう。僧侶のあり方は一人の布教者に戻ることに尽きる」と、彼はいう。
 過疎で無住寺増え
   過疎地では、住職は先祖や地域をよく知るだけでなく、住民の良き相談相手でもある。集落にとって寺は生活の一部であり、歴史でもある。「国内にある約18万3000の宗教法人のうち、約4割が仏教系、そして無住寺など不活動状態の法人は5000弱あるとみられる。寺院が生活の一部となり、文化を伝える役割を担うことを求められる地域ほど、寺の将来に頭を悩ます」
 核家族化が促す自然葬
   葬送のあり方に疑問を持つ人達が、埋葬ではなく、遺灰を自然に帰す自然葬を行う。寺にお骨を預けたが、寺の強引な態度には納得いかなかった。墓は守る人がいなくなると無縁仏になり、寺が遺骨を整理してしまう。埋葬されていた先祖の遺骨を、つきあいの長い寺と縁を絶ってまで、自然葬で葬る人もいる。そう決意させる心の底には、寺に対する不信感があった。NPO法人「葬送の自由をすすめる会」によると先祖の遺骨を墓から出し、自然葬にする人は1〜2年前から増えているという。「子どもに墓守の迷惑はかけたくない」「自分の代で墓の始末をつけたい」というのが動機という。寺離れの結果、自然葬を選ぶ人たち。背景には、檀家の事情を考慮しない旧態依然の寺院への反発がある。
 原点を取り戻すために
   「葬儀に関連した法話をどうしたらいいかわからない」、「説教をふりかざしても遺族に届かぬ無力感を感じる」。昨年11月、僧侶を対象に大阪市で始まったグリーフケア研修への参加動機に、僧侶たちの驚くほど率直な言葉が並ぶ。形骸化した法要も多く、寺のあり方を反省する僧侶もいる。この研修は大阪市仏教会社会福祉委員会と大阪府仏教青年会の共催で、全国初の試み。「大切な人を亡くした時、何か解決法を求められても答えはない。大事なのは答えのない質問をぶつけてくる相手の苦しい思いを察し、その人がどういう状態にあるのか感じ取ることだ」と、講師は強調する。大阪市では約10年前から、宗旨宗派に関係なく、住職の人柄を見て菩提寺を変える人が増えている。
 特集記事5回締めくくり中村美奈子記者の言葉
   僧侶不在の直葬、NPOによる自然葬など葬儀の宗教離れが加速している。しかし、「このままでは寺と檀家のつながりはますます遠くなってしまう」と危機感を募らせる僧侶も多い。「葬儀が本来果たすべき役割は何なのか」。宗教の原点を取り戻すための動きもまた、活発になろうとしている。
 
 国民投票法案
 
 連立与党(自民党・公明党)は、憲法改正手続きを定める国民投票法案を、与党単独で今国会に提出し、単独採決をしてでも3月中の衆議院通過を目指す方針を固めた、と3月7日付朝日新聞記事にあります。
 国民投票法案とは、憲法96条(改正の手続、その公布)に「この憲法の改正は、各議院の総議員の三分の二以上の賛成で、国会が、これを発議し、国民に提案してその承認を経なければならない。この承認には、特別の国民投票又は国会の定める選挙の際行はれる投票において、その過半数の賛成を必要とする」としていますが、国民投票の方法については具体的に定めておらず、与党と民主党は昨年5月、それぞれ法案を発表しています。
 ※3月15日時点では、統一地方選挙後の4月中に衆議院通過を目指すといわれています。
 
 森林浴と快適性
 
 3月4日、東京・有楽町朝日ホールで、独立行政法人森林総合研究所主催の日本生理人類学会シンポジウム「森林浴と快適性−そのリラックス効果を生理的に測る−(科学研究費補助金研究成果公開発表(B))」が開かれました。
 自然に触れたときに快感を感じる科学的説明が、データを蓄積しながら進められています。「現代を生きる我々は、自然対応用にできており、今の人工環境下においてはストレス状態にある」ことが、国がこの研究に着手した動機です。
 以下、4件の研究発表を概略紹介します。
 森林セラピーの生理的評価法
   「森林浴」という言葉が生まれたのは昭和57年。森林浴によるリラックス効果を生理的に評価する最新の手法を三つ紹介。森林浴のリラックス効果をあきらかにする実験が全国規模で展開されている。
 小国スギの教室机で免疫能アップ
   木製の家屋や食器に親しみを感じることから、木材に接することの生理的意義について研究。熊本県小国町の「小国スギ」で中学校の教室机と椅子を作り、四ヶ月使用した際の生理反応を測定したところ、唾液中に含まれる免疫グロブリンAの数値が高まり、インフルエンザによる欠席者が少なくなった。木材を使用することが生理的には望ましい、ということを示すのではないか。
 木目の不思議
   樹木は自然の影響を受けながら肥大成長を繰り返し、その過程で年輪を形成する。年輪は、いわば樹木の成長記録。私たちが木目模様を前にしたとき、どこを見て何を感じるのか。木目のどの様な特徴が、私たちの身心に影響を与えるのか。知られていない「木目の不思議」を解明するために、研究が進められている。
 
 町田ファイル
 
 私が「宗報」の当コーナーを担当するようになってすぐ、前大本山清澄寺護山会長町田栄作氏が、日蓮宗の参考になる新聞7紙切り抜き、雑誌・出版物、講演会記録、ポスター・ちらしを、毎週郵送してくださっています。
 かつて当コーナーで、「Mファイル」とご紹介したことがあります。
 当方で注目した資料と重複するものもありますが、まったく気付かなかったものもあり、日蓮宗信徒の目が選んだものとして、「世間の目線に立った布教」にとても参考になります。
 今月号「宗報」でも、「葬儀の現状」の小見出しで紹介した毎日新聞特集記事と、「森林浴と快適性」の小見出しで紹介したシンポジウム講演録は、町田氏から提供された資料です。
 早朝から新聞各紙に目を通して切り抜き、講演会に出席してレジュメを持ち帰るご配慮に、心から感謝します。
 とくに森林浴については、奈良県・橿原神宮が神宮林造営運動を氏子獲得に利用しているパンフレットを取り寄せ、日蓮宗の本山でも寺有林の整備運動を起こせば、森林浴に寄与するという公益性に適ううえ、寺門経営・信徒獲得の役に立つのではないか、という熱い思いがあって、資料を送ってくださいました。
 80歳を超えた身で、体調不良もあるようですから、ご無理のないようにと祈っております。
 
 オウム真理数分裂
 
 3月7日、オウム真理教(現アーレフ)の上祐史浩前代表(44)が、教団を脱会しました。前代表を支持する出家信者62人・在家信者3人と、新団
体を設立するそうです。前代表の脱会で、野田成人最高幹部(40)が教団代表に就任したといいます。
 新団体は松本智津夫(麻原彰晃)死刑囚の教義や教材を排除し、教団との関係を絶つということですが、公安調査庁は、松本死刑囚の影響があるのではないか、として、監察処分を続行する方針だそうです。
 
 昭和天皇戦時下の肉声
 
 月刊誌『文藝春秋』平成19年4月号に、「新発見 昭和史の超一級資料!独占掲載一挙73頁『小倉庫次侍従日記』 昭和天皇戦時下の肉声」という記事が、昭和史研究室・作家半藤一利氏の解説で掲載されています。
 小倉庫次(おぐらくらじ)氏は、昭和14年5月に侍従兼皇后宮事務官に任ぜられた、初めての平民出身侍従でした。侍従職庶務課長として、各大臣や陸海統帥部総長や侍従武官長などの天皇への拝謁の時間調整を担当していましたから、詳細な記録を日記に残しています。
 「宮内省」とある用箋617枚に記された膨大な日記は、ノモンハン事件直前の昭和14年5月3日から敗戦の20年8月15日までの「私記」記録です。『文藝春秋』編集部は、事務的記述をほとんど割愛して、昭和天皇に関する貴重な資料の発掘を公表しました。
 『文藝春秋』記事の小見出しを、全部紹介します
 昭和14年私記
   ノモンハン事件に忿怒、絶対の信頼を置けるものがいない、白鳥大使に会いたくない(注・白鳥敏夫駐イタリア大使と大島浩駐ドイツ大使は三国同盟を積極的に推進、これに天皇は怒りを覚えていた。大使帰国後の御進講が通例となっているにもかかわらず、である)、義宮(注・昭和天皇第二皇男子〈4歳〉)の移居問題
 昭和15年私記
   斎藤隆夫の反戦演説(注・衆議院本会議民政党代表質問、憲政史上に輝く反戦演説として有名)、満州皇帝に剣を、米内内閣総辞職、松岡外相の長時間上奏、日独伊三国同盟の締結、紀元二千六百年式典、最後の元老死す
 昭和16年
   泰・仏印紛争調停、松岡スターリンと手を結ぶ、「くらげ」の大発見、独ソ戦はじまる、松岡更迭第三次近衛内閣、難航するアメリカとの交渉、皇太子の避難場所、近衛辞職、東条に大命降下、開戦決定の御前会議、太平洋戦争開戦す
 昭和17年
   シンガポール攻略、帝都空襲にあわてふためく、隠されたミッドウェイ海戦敗北、「聯合艦隊にでも行き激励したき気持である」、米軍ガダルカナル島上陸、天皇が京都で語った戦争観、大晦日の大本営会議
 昭和18年
   山本五十六の死、眠れぬ夜、平泉澄への疑念 (〈注〉天皇が、皇国史観で名高い平泉澄に好感をもっておらず、なるべく避けたかった様子がうかがわれる。昭和10年には平泉の御進講を受けている)
 昭和19年
   戦局いよいよ傾く、高松宮との大議論、ついに東条内閣総辞職、神風特攻隊
 昭和20年
   天皇焼け跡の東京を歩く、宮城大火、侍従最後の日々、松代大本営へ
 昭和天皇に関しては、昨年(平成18年)8月号「宗報」の、「昭和天皇の靖国参拝中止」記事中、富田朝彦元宮内庁長官メモ公表についての部分をご参照ください。
 
 原発臨界事故
 
 北陸電力志賀原発一号機(石川県志賀町)で臨界事故を隠していたことが、3月15日、経済産業省原子力安全・保安院に報告されました。
 平成11年6月18日の定期検査中に臨界状態になる事故があったのに、国に報告していなかったのです。保安院は、国内で初めての臨界事故を隠していたのは極めて悪質であるとして、志賀原発一号機の運転停止を指示しました。
 つづく3月19日、中部電力浜岡原発三号機でも臨界事故隠しがあったことが公表されました。
 さらに3月20日、東京電力福島第二原発三号機、同柏崎刈羽原発一号機でも事故隠しがあったことが公表されました。
 これまでにわかった制御棒トラブルは、昭和53年11月2日の東京電力福島第一原発三号機事故から、平成12年東京電力柏崎刈羽原発一号機事故まで、8件起きています。事故を起こしたのは、東京電力・東北電力・中部電力・北陸電力です。
 平成11年9月30日の茨城県東海村ウラン燃料加工施設JCOでの臨界事故では、作業員2名が被爆死亡しました。
 国内で運転中の商業用原子力発電所は、55基あります。そのうち32基が沸騰水型炉で、制御棒がアキレス腱といわれています。
 続々と公表された制御棒脱落事故の共通点は、原子炉を停止した定期検査中に起こったことです。人間が間違いを犯すことを前提に厳重に作られている安全策が、人間の手に負えない落とし穴になっているとのことです。
 3月20日、国の原子力委員会が平成18年版原子力白書を閣議に報告しました。不都合なデータやトラブルを隠すことは、国民の信頼を揺るがすと批判、まる1経営者が安全を最優先し、必要十分な経営資源や注意力を配分するという経営方針を組織の隅々まで浸透させるまる2安全確保のための活動について品質管理システムを機能させ、過誤や異常事象が発生した際は抜本的対策を講じるとともに、教訓を世界の関係者と共有するまる3安全確保について国民や地域社会に対する説明責任を十分に果たす−の三点が必要と指摘。電力会社の反省と、国による点検を求めました。
 一方で原子力白書は、原発を地球温暖化問題の解決に貢献する中核的手段の1つとして初めて位置づけています。そのために、安全運転のほか、放射性廃棄物処分場の推進、核不拡散体制の強化を進めるべきとしています。
 重大な放射能被害につながる臨界事故隠しの発覚で、電力業界が進める使用済み核燃料再利用の「プルサーマル計画」実現が困難になったといわれています。3年後までに16〜18基の原発で始めることを目標にしていますが、相次ぐ事故隠し発覚で国民の不信が高まっているためです。
 
 能登半島地震
 
 3月25日、石川県能登半島でマグニチュード6.9、最大震度6強の地震が発生、3月27日現在で余震200回を超しています。
 震源は輪島市中心部の南西130qの沿岸部で、深さは約11q。震度6規模の地震が石川県内で観測されたのは初めて。
 死者1名、負傷者210名、住宅全壊69棟、半壊156棟、火災0件(総務省消防庁ホームページ、3月26日午後5時現在)。
 震源地に近い地域には、石川県北陸電力志賀原発、新潟県東京電力柏崎刈羽原発、福井県関西電力美浜・大飯・高浜原発、日本原電敦賀原発があります。とくに志賀原発のある志賀町は、南西方向へ25p動いたことが観測されました。
 北陸電力は、輪島市の南の志賀町に志賀原発一号機設置許可を得る昭和63年の時点で周辺海域を調査し、活断層4本を見つけ、マグニチュード6.1〜6.6の地震を想定しました。この活断層と今回の地震との関係は現在不明ですが、想定を上回る地震が発生したことになります。
 この地域は過疎地ですので、救援・復旧などに複雑な問題が生じてきます。高齢者が、避難生活の疲れや地震のショック、復旧作業の過労にさらされることによる地震関連死が、心配されます。避難状態で体を動かさないことによる、身心の衰弱も心配されます。
 ライブドアの連結決算粉飾で証券取引法違反の罪に問われたライブドア堀江貴文前社長(34)に、東京地裁は3月16日、執行猶予無しの懲役2年6ヵ月(求刑懲役4年)を言い渡しました。堀江被告は、すぐ控訴しました。
 粉飾決算事件としては異例の実刑判決だそうですが、経営不振などによる損失を隠すのが主な目的だった過去の粉飾決算事件より、投資家をだまして自己の利益を得るという詐欺的な行為を、悪質と判断したものとみられます。
 この事件で証券取引等監視委員会は、市場の番人としての役割に関して、批判されています。
 東京証券取引所第一部株価指数は今年、10年ぶりに高値をつけましたが、ライブドアが関係した新興企業向け市場マザーズ株価指数は3月、過去最安値を更新しました。
 今年、金融証券取引法が本格的に施行されます。監査法人に企業の不正を当局に通報する義務を課し、監査人の独立性を高めた公認会計士法改正案も、今国会に提出されました。
 
 改定臓器移植法案
 
 「宗報」2月号で取りあげた「改定臓器移植法案」を、今国会(〜5月23目)で採決するという与党の方針が決まったそうです。(消息通)
 
 『あかね空』映画化
 
 昨年の中央教化研究会議で取りあげた時代小説『あかね空』が、浜本正機監督の手で映画化され、角川ヘラルド映画の配給で、3月31日から全国で上映されます。
 平成14年直木賞受賞作家山本一力氏の同名小説を映画化したもので、中央教研での同氏の講演は好評でした。
 「日蓮宗の教化学を考える−多様社会を共に生きる」をテーマにした第39回中央教研で、「江戸から現代をみる−『あかね空』永代寺僧西湖の役どころ」と題して同氏に講演していただいたのは、「家族や世間が肩を寄せ合って生きる江戸に、共に生きる社会が見えます。その中のお坊さんの役どころから、現代の宗門が社会から求められているものを見出したいと思います」という開催趣旨によるものでした。
 
 「千の風になって」
 
 昨年大晦日のNHK「紅白歌合戦」でも歌われた「千の風になって」が、NHKテレビで前後何度か紹介され、話題になっています。
 
   千の風になって(作者不明 日本語詩新井満)

私のお墓の前で 泣かないでください
そこに私はいません 眠ってなんかいません
千の風に 千の風になって
あの大きな空を 吹きわたっています

秋には光になって 畑にふりそそぐ
冬はダイヤのように きらめく雪になる
朝は鳥になって あなたを目覚めさせる
夜は星になって あなたを見守る

私のお墓の前で 泣かないでください
そこに私はいません 死んでなんかいません
千の風に 千の風になって
あの大きな空を 吹きわたっています

千の風に 千の風になって
あの 大きな空を 吹きわたっています

あの 大きな空を 吹きわたっています

a thousand winds (Author Unknown)

Do not stand at my grave and weep;
I am not there、  I do not sleep.

I am a thousand winds that blow.
I am the diamond glints on snow.
I am the sunlight on ripened grain.
I am the gentle autumn’s rain.

When you awaken in the morning’s hush、
I am the swift uplifting rush
○f quiet birds in circled flight.
I am the soft stars that shine at night.

Do not stand at my grave and cry;
I am not there、 I did not die.

   新井満著『千の風になって』(講談社・平成15年発行)より

 心にしみるようなバラード(詩曲)で、すぐ一緒に歌えるようなやさしい旋律です。けれど死者が、私はお墓にはいない、死んでなんかいない、という言葉が、気になります。
 欧米で語り継がれてきたというこの英語詩は、起源も作者も不明です。日本語の詩を作り、作曲したのは、新井満(あらいまん)氏です。
 2月26日午後7時30分放送のNHK総合テレビ「クローズアップ現代 "千の風"に寄せる思
い」に出演した新井満氏が、この詩で死生観が変わった、と語りました。
 新井満氏の著書『千の風になって』を読むと、
   "生者"ではなく"死者"が書いた詩(43P)
死者が、実は死んでなんかいないのだ。(43P)
風とは、息なのだ。(48P)
千の風になるとは、大地や地球や宇宙と一体化することなのである。(48P)
人間が死ぬと、まず風になる。(48P)
次に、様々なものに生まれ変わる。(48P)
人間としての役割を終えたあと、まずは風になり、大空を吹きわたる。次に雪や光や雨になり、鳥や星に姿を変えて、さらにさらに生きつづける。即ち、この地球上で太古の昔からえいえいといとなまれてきた"いのちの大きな循環"の中にくみこまれる、というわけだ。「私はたしかに死にました。けれど、人間以外のいのちに生まれ変わって、今もしっかりと生きているんです。だから心配しないでください。私のお墓の前でそんなに嘆き悲しまないでください…」作者は、そういう詩を書いたのだ。(49〜50P)
地球上に共存する生きとし生ける全てのいのちに対して、この作者は、「良し!」と、叫ぶのだ。絶対的に肯定するのだ。(50P)
"いのちは、永遠に不滅"(51P)
要するに作者は、"死と再生の詩"を書こうとしたのだ。(51P)
私たち生者とは、過去に送り出した無数の死者たちに囲まれて、日々を生きていると言ってよい。(55P)
「ところで死んだあとはあなた、何に生まれ変わるつもりですか」(56P)
作者の考え方や感じ方が、アニミズムに近いことは既に書いた。21世紀の現代ではきわめて少数派ということになる。だが、これと同様の世界観や宗教観を持つ人々は、今も世界の各地にいる。マオリ、アボリジニ、アイヌ、ケルトなどの人々である。しかし、この詩が英語で書かれたとなると、作者の範囲はしぼられてくる。これはもう、ネイティブ・アメリカンの誰かが書いた、と推理するのがもっとも自然ではなかろうか。(63〜64P)
と書かれています。
 これはアニミズムの詩、と新井満氏はいっています。
 アニミズムとは、「宗教の原初的な超自然観の一。自然界のあらゆる事物は、具体的な形象をもつと同時にそれぞれ固有の霊魂や精霊などの霊的存在を有するとみなし、諸現象はその意志や働きによるものと見なす信仰」(岩波書店『広辞苑』第四版)です。
 古代の人間が恐れた「死」は、アニミズムでは安心を得られず、創唱宗教の登場をまって、「死」の哲学的意味を得、ようやく落ち着いたのではなかったのでしょうか。
 創唱宗教である仏教が弘まっているはずの日本で、「千の風になって」が注目されているのは、仏教の教えが理解されていない、支持されていないということでしょうか。
 仏教は、「死」を徹底的に見つめます。
 人間にとって「死」は避けがたい事実である、として、生老病死の四苦を認め、そのまま受け入れることから始まります。「死」の苦しみを苦集滅道の四諦で理解し、苦しみから逃れる八聖道・十二因縁(縁起)を悟れば、安心を得ることができる、という教えです。
 さらに法華経は、諸法実相・久遠実成で真理と救済を説き、日蓮聖人は、お題目を唱えることで即身成仏・霊山往詣の安心を得られる、とはっきり教えています。
 このコーナーの前出「葬儀の現状」に、いま自然葬が増えてきているという新聞記事を載せておきました。「千の風になって」が注目されていることと関連があるのか、どうでしょうか。
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