日蓮宗 現代宗教研究所
Nichiren Buddhism Modern Religious Institute
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宗報 平成18年10月号 第223号 改訂 第55号

現宗研の調査研究ノート
首相の靖国神社参拝、松本死刑、過疎地寺院、共生と公益性
日蓮宗現代宗教研究所主任 伊藤立教 

 首相の靖国神社参拝
 
 小泉純一郎首相は、任期最終年の8月15日、6回目の靖国神社参拝を行いました。終戦記念日の参拝は初めてです。モーニング姿で本殿にあがる「昇殿参拝」で、神道方式ではなく一礼をし、「内閣総理大臣 小泉純一郎」と記帳し、私費で献花料三万円を納めました。
 平成13年自民党総裁選でかかげた「公約を実行」した、ということです。
 全日本仏教会は、これに先立つ8月4日、「首相及び閣僚の靖国神社公式参拝中止の要請」文を、安原晃理事長名で、小泉純一郎内閣総理大臣に提出、同日、池田行信事務総長、田澤元泰社会人権審議会委員長(日蓮宗現代宗教研究所長)ら4名が、鈴木政二内閣官房副長官に手交しました。
 要請文の内容は、以下の通りです。
    本会は、首相及び閣僚の「靖国神社公式参拝」に対して、反対の意志表明と公式参拝中止を要請するものであります。
 靖国神社は、特定の基準をもって合祀の対象とした戦没者を神霊として祀る神社であり、純然たる宗教施設であることが明白であります。
 拠って、一宗教団体である靖国神社に首相及び閣僚が公式参拝することは、どのような形式をとりましても、憲法に定める「信教の自由」「政教分離の原則」に違反することは疑いの余地がございません。
 最高裁判所は、靖国神社等への公金支出が、金額の多寡を問わず憲法違反に当たるという、明確な判断を示しております。
 私たちは、戦後61年のあいだ日本国民が守り育ててきたこれらの憲法の規定こそが、今日の日本の平和と繁栄の礎となっていることを、改めて確認し伝えていきたいと思います。
 戦役者の追悼は、国家が特定の宗教に関わって行うべきものではなく、各ご遺族がそれぞれに真実と仰ぐ宗教によってなされるべきものであることは、当然のことであります。
 本会は、貴殿が内閣総理大臣として再び靖国神社を参拝されることに、強い遺憾の意を表すと共に、今後首相及び閣僚が、靖国神社への公式参拝をなされないよう、強く要請いたすものであります。
 
 オウム真理教元代表松本被告の死刑確定
 
 『宗報』平成18年6月号の「現宗研の時事ノート」に記した「オウム真理教元代表松本智津夫―麻原彰晃―被告の控訴棄却決定」について、本年(平成18年)9月15日、最高裁判所は東京高等裁判所のこの控訴棄却決定を支持し、弁護側の特別抗告を棄却する決定をしました。特別抗告の棄却決定には不服申し立てができませんので、松本被告の死刑が確定、初公判から十年五ヶ月で、13事件で27人が犠牲になったオウム真理教裁判は終結しました。
    「日本国を転覆し、オウム国家の王となる」という荒唐無稽な幻想を実現しようとした松本被告に、なぜ若いエリートたちが従い、犯行に加担したのか。遺族や国民が、裁判にその答えを期待したが、明確な回答を得られない結果に終わった。十年以上に及んだ裁判は、失望感を残した。(9月16日付読売新聞朝刊)
 これに関連して、東京高等裁判所は9月25日、控訴趣意書の提出を拒否して訴訟の円滑な進行を妨害したとして、日本弁護士連合会に、控訴審を担当した弁護士二人について、処分を求める処置請求を行いました。
 公安調査庁によると、オウム真理教(現在教団名アーレフ)の信者教は8月末現在、約1650人。出家信者が約650人、在家信者が約1000人で、一連の事件で逮捕された信者約450人のうち約3割が教団に戻っているといいます。
 これほどの事件を起こした団体が、「宗教」を自称し、松本被告を今も「教祖」としています。事件が、教訓として生かされていません。
 松本被告が何も話さないままでは、真相が明らかになりません。共犯者の裁判が終結する時点で、死刑執行の可能性があります。
 このままでは、松本被告は「教祖」として「神」になってしまいます。
 
 過疎地寺院対策―中四国教研・東北教研速報
 
 本年度の中四国教区教化研究会議(平成18年6月26〜7日、山口)と東北教区教化研究会議(平成18年9月12〜3日、山形)で、どちらも「お寺を地域のぬくもりのある拠点として蘇らそう」のタイトルで、私が基調講演をさせていただきました。
 過疎地寺院問題が注目され、今期宗会での「過疎地域寺院活性化検討委員会」発足をうけ、今度こそ具体的な施策を求める動きになっています。
 基調講演で、平成18年1月14日放送NHK教育テレビETV特集「お寺ルネサンスをめざして」ダイジェスト版(32分間)を上映し、中四国教研では川久保昌耕宗会議員、東北教研では柘植海潮宗会議員の過疎対策提言をいただきました。両宗会議員とも、過疎地域寺院活性化検討委員会委員です。
 中四国教研では、
まる1寺ごとに住職の器量で特徴を出していく。
まる2過疎寺院を認定し、代務手続き簡素化、課金免除。
まる3無住時点で寺族を準教師とし、居住を認める。
まる4有髪女性教師を認定する補教信行道場の復活。
まる5出家しやすくして、出家後に教育する。
など、分科会・全体会議で具体的な提案が出ました。
 東北教研では、
まる1未信徒や世間と、積極的に接する。
まる2日蓮宗は上行所伝のお題目、を明示する。
まる3お寺の公益性を真剣に考える。
などが、分散会・全体会議で話し合われました。
 ぬくもりのある社会が求められている今、日蓮宗のお寺が拠点となって、立正安国世界平和を目指すことが、末法の衆生を救済するという「公益性」になります。
 「小樽問答」から51年、創価学会は世界広布を広言しています。色々な批判を受けながらも、公明党を有し、800万世帯信徒を自称しています。日蓮宗は世界立正平和運動を提唱し、5200ヶ寺、8300教師、390万信徒です。
 
 共生と公益性  ―第39回中央教化研究会議報告〈速報〉
 
 去る9月6日(水)午前10時半から7日(木)午後2時15分まで、宗務院で本年度の中央教化研究会議を開催しました。
 昨年は、戦時下総括として戦前の宗門を検証しました。今年は、文化・宗教・民族などの多様化が進む日本で、違いを認めつつ共生する方策が求められており、これから宗教法人に求められる公益性のうえからも、共生について、いま取り上げる必要があると考え、
 「日蓮宗の教化学を考えるー多様社会を共に生きる」
をメインテーマとしました。
 時代小説家である山本一力氏を講師として招き、同氏の直木賞作品『あかね空』から、家族や世間が肩を寄せ合って生きる江戸に、共に生きる社会を見出し、その中でお坊さんの役どころは何か、現代のお坊さんが社会から求められているものは何か、をお話いただきました。
 その後、山本一力氏の講演をうけ、プランナーの石川哲也氏(読売エージェンシーシニアディレクター)と現宗研田澤元泰所長が、参加者事前アンケートをもとに、社会とお坊さんとの関わりや、日蓮宗らしさとは何かについて対談、石川氏に日蓮宗檀徒としての要望を語っていただきました。
 
 無記名事前アンケート集計結果は次の通り(発送129通中、有効回答81通、回答率約63%)。
 
  
質問1、お坊さんという職業は好きですか
   好き…73%
   好きではない…4%
   どちらともいえない…22%
   未回答…1%

質問2、他の職業を経験したことがありますか
   ある…58%
   ない…42%
   未回答…0%

質問3、一般社会に影響を与える活動をしていますか
   している…46%
   していない…50%
   未回答…4%

質問4、一般社会の中で人材を育てていますか
   育てている…36%
   育てていない…63%
   未回答…5%

質問5、近隣の人達との関わりを作っていますか
   作っている…80%
   作っていない…19%
   未回答…1%

質問6、あなたは、
   住職…54%
   非住職…46%
   未回答…0%

質問6、あなたは、
   男性…81%
   女性…7%
   末回答…12%

質問6、あなたは、
   30歳末満…9%
   30〜49歳…60%
   50〜69歳…22%
   70歳以上…2%
   未回答…7%

 
つづいて、
 第一分科会「現代と教学」…共生とは?(一般社会・浄土思想・法華経)
 第二分科会「教団・教化」…宗門 新たなる前進ー我々は変わらなければならないー
 第三分科会「現代社会」…今、社会は坊さんに何を求めているか
の三分科会に分かれて話し合っていただきましたあと、全体会議を行いました。

 126名の参加(実数、申込数135名のうち9名欠席)がありました。(定員100名)
   東京(東)1名(うち1名当日欠席)、東京(西)2名、東京(南)2名、東京(北)0名、神奈川(一)1名、神奈川(二)1名、神奈川(三)0名、千葉(東)1名、千葉(西)1名、千葉(南)3名(うち1名当日欠席)、千葉(北)3名、埼玉2名(うち1名当日欠席)、群馬1名、茨城2名(うち1名当日欠席)栃木2名、山梨(一)2名、山梨(二)1名、山梨(四)1名、静岡(東)1名、静岡(中)1名(うち1名当日欠席)、静岡(西)0名、長野3名、岐阜1名、愛知(名)1名、愛知(尾)1名、愛知(三)2名、三重1名(うち1名当日欠席)、新潟(東)0名、新潟(西)1名、新潟(北)0名、富山1名、石川(一)1名、石川(二)0名、福井(中)1名、福井(南)0名、福井(北)0名、京都(一)0名、京都(二)1名、大阪(市)1名、大阪(和)0名、大阪(三)2名、大阪(豊)1名、滋賀0名、奈良0名、和歌山1名、兵庫(東)1名、兵庫(西)1名、兵庫(北)1名、岡山2名、広島2名、山口2名、島根1名、鳥取2名、香川0名、徳島0名、愛媛1名、高知0名、福岡4名(うち1名当日欠席)、熊本2名、佐賀2名、長崎2名(うち1名当日欠席)、大分1名、宮鹿沖1名、福島1名、宮城1名、山形0名、岩手0名、秋田1名、青森2名、北海道(東)2名、北海道(西)1名、北海道(南)0名、北海道(北)2名、布教研修所8名、現宗研研究員14名、現宗研顧問8名(うち1名当日欠席)、現宗研嘱託17名、現宗研6名
 
 中央教化研究会議は、現代宗教研究所の年度研究調査項目と連動した三分科会に分かれ、中央教研での成果を通年研究調査に取り込み、年度末に研究紀要『現代宗教研究』に報告しています。
 
事前アンケート集計結果
発送総数…129通(参加者全員)
返信総数… 81通(62.8%)
有 効 数… 81通(62.8%)
無 効 数…  0通(   0%)
 
アンケート葉書(原案作成 石川哲也氏)
 平成18年度第39回中央教化研究会議
  事前アンケート葉書(返信用)
質問(一つだけ○をつける)
1、お坊さんという職業は好きですか。
 まる1好き まる2A好きではない
 まる3どちらともいえない
2、他の職業を経験したことがありますか。
 まる1ある まる2ない
3、一般社会に影響を与える活動をしていますか。
 まる1している まる2していない
4、一般社会の中で人材を育てていますか。
 まる1育てている まる2育てていない
5、近隣の人達との関わりを作っていますか。
 まる1作っている まる2作っていない
6、あなたは、
 まる1住職 まる2非住職(いずれか一つに○)
 まる3男性 まる4女性 (いずれか一つに○)
 まる530歳未満 まる630〜49歳 まる750〜69歳
 まる870歳以上    (いずれか一つに○)
 
特記事項
 
まる19月4日までに到着分の葉書を集計し、表・グラフを作成。
まる2質問1〜6の「未回答」数は、返信葉書に○の記入がなかった数の合計。
まる3クロス集計に、「未回答」数は使用していない。
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