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小樽問答から五十年
日蓮宗現代宗教研究所主任 伊藤立教
わるい冗談
池上駅前でよく演説していた自民党中西一善衆議院議員が、通常国会開会中に強制わいせつ容疑で現行犯逮捕されました。すぐ議員を辞職しましたが、「一日一善」を連呼していたのですから、わるい冗談では済まされません。
性的犯罪が急増している事態を重く見た国会は、性犯罪者の氏名公表も含めた対応策を検討する小委員会を設置しましたが、この「特定犯罪の抑止等に関する小委員会」の委員長が、自民党の西田猛代議士です。ところが、「週刊新潮」平成17年2月17日号によると、西田議員は婦女暴行で2度告発されているのだそうです。「ブラック・ジョークで笑って済まされるレベルの話ではない」と、記事は締めくくっています。
わるい夢
カリスマ経営者堤義明コクド前会長が、証券取引法違反で逮捕されました。西武グループ総帥として、長者番付世界一にもなった人です。この時期、ダイエー中内功氏やミサワホームホールディングス三沢千代治氏といった創業者の失脚、ソニー出井伸之会長兼グループ最高経営責任者の退任などが続いています。「朝日新聞」平成17年3月4日号は、堤総帥逮捕を知ったグループ企業元社員の、「悪夢を見ているようだ」という言葉を載せています。
イラクのバグダッドで武装勢カに拉致されたイタリア人女性記者が、解放直後にアメリカ軍兵士に銃撃され、同行のイタリア国防省情報機関高官が殺されました。アメリカ政府報道官は偶発的事件と言っていますが、女性記者はそうではないと反論しています。3月4日の事件発生からの反米感情の高まりもあってか、16日イタリア軍段階撤退が決まりました。米英韓に次ぐイラク派遣国イタリア以外にも、撤退・撤退予定は14ヶ国あります。ちなみに日本は、昨年12月に一年間の自衛隊駐留延長を決めています。
武器を持てば使いたくなる、人間に過ちは付きもの、武器も権力も、使う人が十二分に気をつけるべきです。せっかく助かったのに味方に銃撃され、本人が怪我をし、死者まで出たのでは、わるい夢、では済まされますまい。
間に合わない
個人情報保護法の全面施行が4月1日に迫るなか、個人情報漏洩対策が間に合わない、と個人情報保護法に対応するための直前セミナー参加企業の4割が悲鳴を上げている、と「朝日新聞」平成17年3月3日号に書いてあります。当初から問題が指摘されていたことですが、そのときにこの事態を予想した人はあまりいませんでした。個人情報に無頓着な態度をとっていると、ひどい目に遭うことになります。この法律を、今一度見直す必要があるのではないでしょうか。
政教分離の緩和
自民党新憲法起草委員会(委員長・森喜朗前首相)が4月にまとめる新憲法草案の試案で、現行憲法が定める政教分離を緩和し、社会的儀礼や習俗的行事の範囲であれば、国や自治体による一定の宗教活動を認める方針を固めた、と「毎日新聞」3月7日号で報じています。日本国憲法20条は、「国及びその機関は、宗教教育その他いかなる宗教的活動もしてはならない」と定めています。自民党試案では、「日本の自然宗教は一種の文化になっている。素朴な伝統行事まで『宗教』というのはおかしい」として、政教分離規定の見直しが言われているそうです。
かつての国家神道による戦争反省に基づく政教分離原則が、変更されようとしています。愚者は経験から学び、賢者は歴史から学ぶ、と言います。日蓮宗は、どう対応するのでしょうか。
公益法人制度の改革
平成16年12月1日に「公益法人制度改革に関する政府方針」が発表され、これを取り入れた「今後の行政改革の方針」が、12月24四日に閣議決定された、と全日本仏教会の長谷川正浩顧問弁護士が機関紙「全仏」平成17年3月1日号で書いています。
平成12年の「行政改革大綱」から始まった公益法人制度改革は、公益法人の税制まで言及しています。この改革の基本的な特徴は、公益性の有無に拘わらず、準則主義(登記)により簡便に法人を設立させ、設立した法人に公益性があるかどうかを、内閣に民間有識者からなる委員会を設置してこの委員会が判断する、というものです。
宗教法人の制度改革が議論されることも、想像されます。
長谷川弁護士は、「宗教法人は、  宗教的側面と  世俗的な側面の二面性を持っています。そして、宗教法人の制度改革で論議されるのは  であって、  ではありません。しかし、  への影響も避けられないのですから、この点を踏まえたうえで、宗教法人の公益性や適正運営等について、今から十二分な対応等を考えておかなければならないでしょう」と締めくくっています。
小樽問答
創価学会機関紙「聖教新聞」平成17年3月11日号「名字の言」欄に、
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数年前、身延派が出版した『日蓮宗の近現代』の中にも、門答後に「この年の夏から展開した学会の折伏活動は苛烈を極め」「創価学会の会員の数は倍、倍と雪ダルマ式に成果をあげ、今日の創価学会に膨張」と記しているほどである(中略)「歴史の流れの上から正しく判定される時がくる」と問答の意義について語った戸田第2代会長。
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と書いています。昭和30年3月11日の小樽問答から50年になることでのキャンペーンですが、現宗研が平成8年に制作した『日蓮宗の近現代』は、この小樽問答についての総括をした本です。
この中で石川教張師は、
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御妙判の引用も断章取義で、一知半解の謬見がまかり通っており、日蓮聖人も示したような「問うて云く・答えて云く」という問答とは到底言えず、「公開討論会」といった方が実態に近い。
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と分析したあとで、
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従って、勝敗を云々する程の内容を備えていない。学会の池田大作自体が、冒頭から「日蓮正宗は正しい、身延は邪道」と結論的言辞を述べ、最後も「正宗が、日蓮正宗創価学会が正しい」と一方的に言ったように、自讃して「正しさ」を押しつけようとしただけであって、池田自身も「勝った」という言葉を吐いていない。これは、池田自身則ち学会の戦術が「日蓮正宗創価学会」の正当性を主張、宣伝する事にあった点を物語っている。それゆえに、大石寺安置の板本尊への信心が喪失し、「日蓮正宗創価学会」と一体視した両者の一体不二性が崩壊すれば、「小樽問答」において展開した論理もまた根底から崩落せざるを得ないものであった。(中略)「小樽問答」は今、「歴史の上から正しく判定される時」に至っている
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と断じています。さらに、
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平成7年(1995)3月11日付の「聖教新聞」に、〈「小樽問答」から40年−民衆の「正義の叫び」の勝利史〉と題する社説が掲載された。(中略)「身延派の弁士には、奇妙なことに顕本法華宗の僧侶も加わっていた。宗派は久しく対立してきたにもかかわらず、“学会憎し”の一点で手を結んだのだ」。このように書き、これを日蓮宗の“野合”や醜さの根拠にしている。(筆者註−石川師は、長谷川義一師を顕本法華宗の僧侶とする創価学会の間違いを指摘し、長谷川師は日蓮宗の僧侶であり、創価学会が出した『小樽問答誌』にも日蓮宗僧侶とわかる記載があることを指摘したあとで)小樽問答からすでに40年、学会が今も基本的事実さえ誤り、作為に充ちた社説の言辞をもって小樽問答を宣伝しているのは、学会の“醜さをさらけ出す”ものであり、欺瞞的な手法と体質を垣間見せたものともいえる。(中略)それとも、社説の筆者は学会自体の発行した『小樽問答誌』を読んでいなかったのであろうか。読みながら事実を改変したのであろうか。これは決して単なる思い違いや誤記では済まない問題である。(筆者註−長谷川義一師が昭和31年3月11日に発行した『小樽問答の真相』でも、「私は日蓮宗の正真正銘の僧侶」と明記されている。この本を読んでいないのか。いないとしたら研究不足、読んでいたとしたら問題外。)この詐術的手法が学会の体質である事を露呈したものである。(中略)その学会が今や“野合”に失敗し“日蓮正宗憎し”に執着しているのは歴史の皮肉である。
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と、厳しく分析しています。
末法のただ中
以上述べてきたように、まさに時代は末法のただ中、わるい冗談や悪夢、以て非なる宗教が内外に蔓延していても、気にもならない、気もつかないほどに、私たちの感性は麻癖してしまっています。
元現宗研所長故石川教張師が、「寺院のことを伽藍(ガラン)というが、魂の入っていない伽藍はガランドウである」と言い、寺院に住まいする僧侶の人格こそが日蓮宗の根本である、と慣慨しておられました。「誓願を時代おくれと言う僧侶は、日蓮宗をやめればいい」とも、お題目総弘通運動の最中に言っておられました。
末法の濁った空気で麻痩した頭に、お題目という良薬が用意されています。内外ともにこれを服し、まず自身が目醒め、それから他を目醒めさせましょう。それが、今定期宗会で決定した次期宗門運動「立正安国・お題目結縁運動」の根幹ではないでしょうか。
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