日蓮宗 現代宗教研究所
Nichiren Buddhism Modern Religious Institute
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宗報 平成16年度2月号 第203号 改訂 第35号

現宗研の調査研究ノート
 平成十七年は、どんな年
日蓮宗現代宗教研究所主任 伊藤立教 

 気象記録を更新した列島猛暑と長雨、新潟県中越地震をはじめとした地震の多発、史上最多となった十台風の上陸、スマトラ沖大地震と津波、子どもが犠牲となった犯罪の多さ、イラク戦争やテロ事件の発生など、荒れに荒れた旧年を送って迎えた平成17年は、阪神・淡路大震災から十年になります。

    孤独死

 その阪神・淡路大震災の被災者らが住む兵庫県西宮市の災害復興住宅で、死後1年8ヶ月たった孤独死の白骨化した遺体が発見されました。発見は昨年11月ですが、新聞報道は本年1月14日で、死亡推定時63歳の男性です。
 災害復興住宅の家賃滞納による強制執行時に発見されたそうで、死亡推定日時は平成15年3月、死因は不明ということです。阪神大震災被災者のうち、兵庫県内の仮設住宅と災害復興住宅で独り暮らしでなくなった人(独居死者)は、十年間で560人に上るそうです(朝日新聞平成17年1月14日付記事)。
 内訳は、仮設住宅内死者が233人、復興住宅内死者が327人。性別は、男性385人、女性175人。年齢別は、60代171人、70代142人、50代109人。昨年11月12月中に発見された独居死者は11人。
 年始早々の、悲しい話です。

    昭和八十年

 この平成17年は、昭和80年。満州事変から始まった日本の戦争が15年も続き、昭和20年に敗戦で終わりました。今からちょうど60年前の、今年と同じ酉年のことでした。
 15年間の異常に終わりを告げた酉年にあやかって、今年が悲しい年の終わりになりますよう、祈らずにはいられません。
 今年頭から、戦後60年を考える企画が、新聞・テレビ等のマスコミで盛んに取り上げられています。当研究所では、2月9日(水)に日蓮宗宗務院で、「教団の歴史から学ぶ平和と戦争」と題して、平成16年度第15回法華経・日蓮聖人・日蓮教団論研究セミナー(公開講座)を開きます。15年戦争の記憶が薄れるなか、当時を知る人々の証言を聞くことができる最後の節目としての「戦争終結60周年」に、歴史から学ばせていただきたいと思います。

    人口減少杜会

 昨年に生まれた赤ちやんは110万7千人で、4年連続の減少。過去最少となる見通しが、厚生労働省が1月1日付で公表した人口動態統計の年間推計でわかりました。
 人口減少社会が、いよいよ目の前に現れようとしています。
 日本大学人口研究所によると、2025年(今から20年後)の日本人平均寿命が、女性で89.44歳、男性で83.85歳となるそうです。
 今年、戦後生まれの世代が満60歳になります。その後に、「団塊の世代」が大人数で控えています。

    団塊の世代

 「団塊の世代」は、作家堺屋太一氏の造語です。戦後の人口急増期を特徴的に表現していて、すっかり定着した言葉となりました。
 「団塊の世代」の上の世代が高度成長を実現したあと、それを現場で支えた年代ですが、バブル経済の担い手でもありました。いまだに続く「バブル経済崩壊」後の不況の責任者、でもあります。
 「団塊の世代」は、揶揄的に「お邪魔世代、どこにでも顔を出す」と言われていますが、筆者自身がこの世代ですので言わせてもらえば、「この世代の人口が異常に多いから、どこにでもいる」というのが実状です。
 悪いことばかりではありません。近頃のコマーシャルを見てください、懐メロが多いと思いませんか、しかも「団塊の世代」が懐かしがる歌が多いでしょう。この懐メロに引っ張られて、買ってしまう、いや買わされてしまう、異常に大きな購買層として、マーケットから注目されている、標的にされている世代でもあるのです。
 しかも、気分が若い、まだ十年は働ける世代でもあります。過去に例のない世代としての特徴が生かせる余地も、十分にあるはずです。経験や知識といった「人的資産」、貯蓄や年金などの「金融資産」をうまく活用すれば、「団塊の世代」以上の高齢者が、社会を活性化できるはずです。

    偽旧一万円札

 今年の初詣で賑わう神杜仏閣で、偽旧一万円札が大量に使われました。10都道府県で約200枚。この時期にこの規模で偽札が使われたのは例がない、と言われています。
 偽札をつかまされたのは、露天商や小売商などの薄利多売業種。一つの商品の僅かな売り上げで成り立つ商売の人が、商品と多額の釣り銭を騙し取られたわけで、やりきれない思いがします。

    交通事故死老減

 昨年の交通事故死者は7358人で、48年ぶりの低水準だったそうです。
 交通違反の厳罰化と取り締まり強化、特に、飲酒運転・運転中通話の取り締まり効果と言われています。もちろん、車の安全性能向上や、救急医療体制整備の効果もあるでしょう。
 全国交通事故者は、昭和45年に過去最悪の16,765人を記録していました。「交通戦争」、と言われたことを思うと、少しうれしいことです。

    石川教張コーナー

 当研究所元所長の故石川教張師の著作物(単行出版物)をまとめた「石川教張コーナー」を、師令夫人千代様のご配慮で、現宗研事務所に設けることが出来ました。
 下記の9種類12冊を2組ご寄贈いただき、1組は蔵書として収蔵し、1組は常時閲覧書として貸出に即応できるようにしましたので、ご活用ください。
   1999(昭和63)年 北辰堂刊  『信じあう人生−日蓮聖人の生き方−』
1996(平成8)年 水書坊刊  『女人法華』
1998(平成10)年 学陽書房刊  『人間日蓮』上下2巻(人物文庫)
1999(平成11)年 水書坊刊  『日蓮聖人の生涯』全3巻
1999(平成11)年 日蓮宗新聞社刊  『風の峯 波木井実長の生涯』
2000(平成12)年 中央公論新社刊  『苦海に生きる〈日蓮〉』
2001(平成13)年 アールズ出版刊  『人間日蓮』(愛蔵版)
2001(平成13)年 大蔵出版刊  『日蓮聖人の人間像』
1996〜2001年 産経新聞所載随筆  「語る」切り抜き集

    平成17年展望

 日経新聞平成16年12月27日付特集記事「2005年展望ニッポンのゆくえ−ライフスタイル編」で、マーケティングコンサルタント西川りゅうじん氏が、平成17年に注目するであろうライフスタイルを、「りゅうじん流キーワード」で語っています。
 まる1 都心の地価高騰で住宅を郊外に求めたのが「ドーナツ化」なら、近年の利便性を求め都心へ向かう傾向は「アンパン化」。
 まる2 だからといって「再ドーナツ化」が今後起こるわけではなく、予測されるのは「ピザパン化」。個人や家族の暮らし方に合わせて住む場所を選ぶ。
 まる3 「とかいなか」生活への人気が高まる。便利だけれど慌ただしい都心の「ファストライフ」、のんびりしているが不便な郊外の「スローライフ」。その両方の良さを楽しめるよう、都会に近い田舎で暮らすのが「とかいなか」生活。
 まる4 ファッションの面では、いつまでも若さを失わない「コジャレたオヤジ−コヤジ」が増える。
 まる5 今後注目されるのが団塊世代。リタイア後にお金と時間の両方を持つ。かき氷の宇治茶と甘い金時の両方を「金と時」で楽しむ団塊世代は、「宇治金時族」。GNP(国民総生産)至上主義にあけくれた団塊世代には、「新GNP(G=元気、N=長生き、P=ポックリ)」を目指してもらいたい。人口の一割を占める彼らがリタイア後、自分の夢を追いかけて「不良長寿」を目標にすれば、日本は元気になるに違いない。
 まる6 以上の事柄に共通するのは、一人一人の価値観の重要性。勝ち負けの「勝ち組」ならぬ、自分の「価値観」を大切に生きる「価値組」こそ、人生の真の「勝ち組」である。
と指摘しています。
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