日蓮宗 現代宗教研究所
Nichiren Buddhism Modern Religious Institute
| 宗報 平成16年度7月号 第196号 改訂 第28号 |
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日蓮宗の葬儀 葬儀へのアプローチとしての教化学
日蓮宗現代宗教研究所所長 田澤元泰
岩間湛正宗務総長の施政方針四本柱のひとつとして、葬儀全般の規範の作成があります。
葬儀の現代的見直し、についての取り組みです。葬儀の形態が、葬祭業者による会館・ホール葬の増加など、大きく変化しつつあります。世間の葬儀に対する状況が変化する中で、宗門として、寺院住職として、日蓮宗教師として、いかに受け止め、どのように取り組んだらよいかという問題提起です。
現代宗教研究所でも、いち早くプロジェクト会議をくみ、実態の調査研究をしています。この間題は、教区教化研究会議でも取り上げられ、地域の葬儀事情に則した教化研究が行われています。
例をあげれば、昨年度の千葉教研では、葬祭業者の見解や今後の展望を直接聞きましたが、日蓮宗教師の意識とは大きなずれがあることがわかりました。北陸教研や山静教研でも葬儀をテーマにとりあげ、同様の現状分析が行われました。本年六月の近畿教研では、昨年の引導文のありかたに続いて通夜説教の理念と実践例について、多角的な検討が行われました。参加者の意見の中で興味をひいたのは、通夜説教にたいする技法だけでなく、日蓮宗教師としての葬儀への取り組みが求められている、ということでした。言い換えれば、読経・引導・回向も含めた葬儀全体が通夜説教の内容に反映されているべきだ、という考え方です。
葬儀の現場から現代社会の問題へのアプローチとしての教化学の課題を見ることができるということです。
教化学の理念
現代の葬儀のあり方を考えるときに、まずはじめに、日蓮聖人が弟子や信者の「死」にどのように対応されたかを考察することが基本だと思います。阿仏房の死、富木常忍の母の納骨等など、弟子信者の死に対する日蓮聖人の対応を知ることによって、日蓮宗教師としての葬儀に対する基本形を見出すことができます。それをもとに、現代における葬儀の問題点を捉えることによって、解決の方向がおのずから見出せると思います。このような方法も、教化学のひとつといえるのではないでしょうか。
教化学とは、教学の現代化だけではありませんし、教学に対応する意味での応用学でもないのです。すなわち日蓮聖人の、立正安国論献上による諌暁、各地域に弟子を配属して布教の中心としたネットワークの確立、あらゆる階層の老若男女へのお手紙や文書による布教等々、教化学としての理念を確立させなければならないと思います。その理念に基づいて、現代の諸問題に取り組むための方法論や実践論が、いわゆる応用学として体系化されるのではないでしょうか。
本年9月8日9日の中央教化研究会議は、現代宗教研究所設立の原点である「教化学」の確立を見据え、「日蓮宗の教化学を考える−私たちの布教教化は世間を引きつけていますか」のテーマで開催します。冒頭で、「布教教化を機能させるには」と題して基調報告をします。そして開催テーマに沿って教化学確立の視点から、1現代と教学、2教団・教化、3現代社会の3分科会で討議していただきます。
教化学の確立が求められている今日、これまでの多くの関係者の研究の積み重ねをもとに一層、教化研究をすすめてゆきたいと思います。
日蓮宗の葬儀の規範
日蓮宗の葬儀の規範とは、葬儀がそのまま日蓮宗の布教になるための理念、ということです。
なぜ葬儀をするのかの明確な説明と、日蓮宗の葬儀の形態を確立することです。
お寺は葬儀をするというのが一般的理解でありながら、葬儀の現状から取り残されている感があり、このままでは事実上の経済的基盤を失うことになりかねません。意義ある葬儀を提示するためには、必ずしも伝統的なものにはこだわらない姿勢も必要でしょう。
葬式仏教と言われている現実を、葬儀こそ最大の布教の機会ととらえることで、布教の大きなチャンスとすることが出来るのではないでしょうか。
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