日蓮宗 現代宗教研究所
Nichiren Buddhism Modern Religious Institute
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宗報 平成16年1月号 第190号 改訂 第22号

子弟教育の課題
日蓮宗現代宗教研究所長 久住謙是 

 「あなたが僧侶となるために、信行道場に入る前に、どのような修行や体験をされましたか。下記の該当する箇所へ○印を記入して下さい。複数回答でお願いします。記 1.師僧と生活、給仕して修行した。2.師僧と生活を共にしないが、指導を受けた。3.本山などで随身、修行した。4.学寮生活で習得した。5.沙弥校・僧風林などに参加した。6.宗門の大学や高校で指導を受けた。7.先輩・同輩の指導を受けた。8.講習会・研修会などで学んだ。」「あなたの師僧は、師父(実父)・師父ではない。」「その他、宗門法器育成について、ご意見がございましたら、裏面にお書き添え頂ければ幸いです。」回答者(無記名)、年齢、性別(男・女)、住職・担任・教導・修徒、
 上のようなアンケート調査用紙を作成した。
 平成15年9月下旬に発送、10月10日〆切で、選択した某管区(Aグループ)と、在家出身僧侶の某組織(Bグループ)の、僧侶対象に調査を行った。

 その調査結果を、10月24日、日蓮宗宗務院で開催した第56回日蓮宗教学研究発表大会に、「日蓮宗子弟教育の課題−現代のあるべき教師像の一提言−」と題して、発表した。ここでは、アンケート傾向の一端を、少数のサンプルではあるが、報告させて頂く。
 下の図は、調査対象の前記AグループとBグループを、表示したものである。

アンケート調査  H15.10.10
信行道場入行前の修行・体験
  Aグループ
図拡大表示 
  Bグループ
図拡大表示 
アンケート回答78通(回答率43%)
複数回答198(回答数平均2.5)
1〜8各項目%は該当○印/78
アンケート回答118通(回答率63%)
複数回答342(回答数平均2.9)
1〜8各項目%は該当○印/118

 1.師僧と生活、給仕して修行した。2.師僧と生活を共にしないが指導を受けた。Aは78%、Bは96%で、師僧の指導率が高いことは予想されたことであった。
 そして、信行道場入行前に複数の機会をもった、修行・体験を積んでいる様子が窺える。Aは、師僧の指導性が、Bより低く止まっており、世代別には、20代が42%、30代が50%で、師僧の指導なし、としているところが、気になるところである。若い世代ほど、師僧の指導に頼らず、その他の修行・体験に依存しているのである。時代の要求なのか、内容について追跡してみたい問題である。
 Aは、設問3〜8まで、バランスの取れたパーセントが表われ、Bは、5.沙弥校・僧風林などに参加した。…3%。4.学寮生活で習得した。…10%。などと低く、在家出身僧侶の立場が反映していると思われる。
 師僧より弟子へとは、法器養成のあり方の基本と思われるが、時代とともに変化し多様化していることが、信行道場入行前の修行・体験アンケート調査からも、窺い知れるところである。
 師資相承の問題、現代出家考、日蓮一門意識、立正世界平和問題など、現代のあるべき教師像の、生涯研修の必須が言われているとき、多様性に富んだ教育環境が一層待望されてきているのではないだろうか。
 終りに、参考資料として、アンケート用紙に記されたご意見を、ご紹介する。

アンケート回答用紙に記されたご意見(取捨適宜)
信心のない僧侶、渡世の為の僧侶を育成するのか、法器育成の目標、お手本が必要。
僧侶自身も、出家の尊さに自信をいまいち持ち得ない。
「信心」の体得を伝授するのは、甚だ困難である。
三宝に給仕するという考えが、大変希薄になっている。
法器養成は、寺の子息、在家出身に限らず、師僧に仕え、他の寺で生活することが必要である。
随身生は簡単には僧になれない、辛抱を学ぶこと。
僧侶として、技術よりも、資質を高められる宗門教育を望みます。
宗門には教育機関があるんですか。みんな講習所じゃないんですか。
日々の法務にとらわれない専門の指導者、指導者の養成機関をつくる。
厳しい自行がなければ、化他行は生まれない。
師父(実父)がしっかりして、弟子(息子)の育成をし、宗門の育成機関に頼らない。
寺院の実習を希望する者があれば、年に数回協力をさせていただいてもよい。
寺門を支える若い方々に希望!!お題目のすばらしさ・すごさを体感してほしい。
身延山或いは本山などで、修行することを必修とすることが望ましい。
師父・実父であっても、ある時期に2・3年間は師を変えて勉学し、他人の飯を食え。
現在の20〜30歳の修徒は、読誦行に熱心だが、布教については熱心でない。
机上の空論で説教をしてもダメ、一般世間の体験が説得力に繋がる。
法器養成のための機関案、寺子屋(小学生対象、毎月一回第1土曜日、組寺)、塾(高校生・大学生対象、年4回、1回2日、管区)、檀林(青年・定年退職者対象、35日、教区)
親元では充分な修行が身に付かない。僧道修行、1〜2年間必要である。
日蓮宗僧侶になる道を、多様な方法から選択できるように。(杜会経験者の出家)
僧階を取得しても法話ができない教師がものすごく多い現実を、考えてほしい。
信心が決定していくような機関が、今の宗門には無いのを危慎する。
35日の修行で代表役員になれる。一般杜会では考えられないことである。
現在、師弟関係における法器養成は困難である、専門機関での研修が必要である。
他人の苦しみ、悩みがわからない人がいる、心の修行と体験が僧侶には必要である。


 
NPO法人ボランティアネットワーク「Earth〈アース〉」(理事長・山梨県立本寺住職石原顕正師)が企画し、阪神淡路大震災九周年「市民追悼式実行委員会」が主催する阪神淡路大震災犠牲者追悼式典(平成16年1月17日、神戸市)において、琵琶で演奏されます曲の歌詞を掲載します。

作詞 川村素子
作曲 川村旭芳

てつく冬の朝まだき 地鳴りに続くお ゝ な い
大地震
人のいのち
も街並みも 一瞬にして変り果つ

崩れ落ちたる我がいえ
や ご う か
劫火
の炎に奪はれし
ろくせんゆうよ
六千有余
はらから
兄弟
の み た ま
御霊
よどうか安かれと
こゝにつど
ひて祈り捧げむ

尊きぎせい
犠牲
となり給ひ 我らに残せし教訓を
津々浦々の人々に 教へ伝へてのち
の世の
わざわい

くるいしずえ
に 成さむと共に誓ふなり

ねが
はくは はるけきひ が ん
彼岸
か な た
彼方
より
行く末永く見守りて この世のさち
まも
らしめ給へ
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