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第36回中央教化研究会議報告
「日蓮宗の布教を考える―通仏教化した現状と摂受折伏問題」
日蓮宗現代宗教研究所主任 伊藤立教
去る平成15年9月3日(水)・4日(木)に日蓮宗宗務院で開かれた中央教研について、概要を速報させていただきます。詳細は、本年度末発行の現宗研紀要『現代宗教研究』第38号でご報告します。
ここでは、本年度中央教研統一テーマ「日蓮宗の布教を考える―通仏教化した現状と摂受折伏問題」に添った基調講演(1)立正大学名誉教授今成元昭師「日蓮聖人の摂受折伏観について」(2時間)と、基調講演(2)立正大学教授・法華経文化研究所長伊藤瑞叡師「開目抄における摂折観―仏教古典学の立場から」(2時間)、質疑応答(30分間)の内容についてご報告します。
今回の資料として、
| @ | 会議資料(両講師講演資料を含む)本文173頁 |
| A | 当日配布今成師講演資料全2枚 |
| B | 別冊資料・今成元昭著「日蓮論形成の典拠をめぐって―折伏為本論の場合―」(平成15年発行・渡邊寶陽先生古稀記念論文集『日蓮教学教団史論叢』抜刷)本文18頁 |
| C | 別冊資料・伊藤瑞叡著「摂折論の新研究(上)―原語・意義・意趣・の解明」(平成13年・『法華学報別冊』)本文175頁 |
| D | 別冊資料・伊藤瑞叡著「摂折論の新研究(下)―諸義と義趣の解明」(平成14年・『法華学報別冊』)本文174頁 |
を配布しました。残部がありますので、ご希望の方は現宗研までご一報下さい。
両講師との事前打ち合わせで、講演内容共通項目として、
1、摂受折伏という言葉の概念
@一般的 A仏教的 B日蓮的
2、開目抄「常不軽品のごとし」文に対する見解
3、宗義大綱「七、摂受と折伏」に対する見解
4、平成14年11月8日付勧学院院長見解に対する見解
5、摂受折伏に対する見解
を提示させていただきました。
A、摂受折伏の定義と見解
今成元昭師―「折伏は摂受の前段階」というのが、一般的仏教理解。日蓮聖人は、「折伏した」とは言っていない。「折伏された」と言っている。「折伏」の語を嫌っている。邪法調伏は、摂受折伏に通じた宗教的行為であり、ギリギリの概念として、武力暴力を否定するか肯定するかが摂受折伏の定義となる。五老僧は摂受、日興上人は折伏。宗門の大勢は摂受、在家信者は折伏。身延に入られた(=摂受)から、今日の日蓮宗がある。
伊藤瑞叡師―折伏の原語には、喧嘩諍論という意味はない。摂受折伏は時機観の問題。折伏は、第九地の菩薩にとっての根本徳目。摂受は衆生を対象とした摂衆生戒であり、正法を対象とした摂善法戒である。折伏は、勧持品の弘経、不軽品の行。身業摂受、口業折伏。折伏正意、摂受傍意。お題目のお取り次ぎが、現代の折伏。
B、開目抄「常不軽品のごとし」文に対する見解
今成元昭―「常不軽品のごとし」文は、後世の加筆である。常不軽菩薩の行が折伏と書かれているのは、全遺文中、ここだけ。但行礼拝が折伏とは、納得できない。「不軽の行」とは、中世日本で7月14日に行われたお盆の行で、つらい行であり、但行礼拝の心で行われるものであった。
伊藤瑞叡師―本尊抄の摂折論、開目抄の摂折論。「聖人が『大経ノコトシ』とも『常不軽品ノコトシ』とも明記しなかったのは、今文に、対告者の門下に対して信受による領解を求める設問を含意せしめたからである、と見ることができます。そして後賢先師は、、門下として対告の自覚に立ち信受を持ってする領解による解答として、『常不軽品ノコトシ』と記入加上したのである、とも理解されるのであります。かくして私は、欠文にされた聖人の意図も、これを記入した後賢の領解も、これを現伝した先師の見識も、ともに適正である、と考えます。真摯にして訓練された思考を欠く、時代の思潮に迎合する、為にする性急にして軽率なる概括の誤謬をもって後賢先師を糾弾する愚は、これを厳に慎むべきである、と愚考します。」(『摂折論の新研究(下)』159頁)
C、宗義大綱「七、摂受と折伏」に対する見解
今成元昭師―「宗義大綱解説」には、究極は摂受、とある。これが聖人の本懐、時機云々ではない。「宗義大綱読本」文中に、前後の相違がある。僧侶と在家への方策の不統一、日蓮宗の教えの不統一。平成14年11月8日付の勧学院に関する教務部の報告文中に、「宗義大綱読本」の改訂も視野に入れていく、とある。
伊藤瑞叡師―「宗義大綱」発表後、すぐに批判が出た。薩師・董師の方がいい、という声も出た。小林日董師が言う「逆縁に対して折伏、順縁に対して摂受」と書き改めよ、という声も出た。本未有善に対しては、折伏に決まっている。門弟は順縁(本已有善―摂受)、日本国は逆縁。
D、質疑応答 (講演延長のため時間が短くなり、コーディネーターから質問し、講師補足説明のかたちとなる)
今成元昭師―摂受の日蓮宗は大教団、折伏の他門流は小教団。
伊藤瑞叡師―摂受正意・折伏正意は、見解の相違。
以上、雑ぱくながら、要旨を速報のかたちで提供します。
今回の中央教研は、参加者162名(申込者数)。実質定員120名を上回りました。
管区別内訳は、東京(東)1、東京(西)2、東京(南)1、東京(北)0、神奈川(一)1、神奈川(二)0、神奈川(三)3、千葉(東)2、千葉(西)1、千葉(南)2、千葉(北)2、埼玉2、群馬1、茨城2、栃木1、山梨(一)0、山梨(二)0、山梨(三)0、山梨(四)2、静岡(東)0、静岡(中)0、静岡(西)0、長野1、岐阜1、愛知(名)0、愛知(尾)2、愛知(三)3、三重3、新潟(東)1、新潟(西)1、新潟(北)0、富山1、石川(一)2、石川(二)0、福井(中)0、福井(南)0、福井(北)2、京都(一)0、京都(二)2、大阪(市)5、大阪(和)2、大阪(三)3、大阪(豊)0、滋賀0、奈良3、和歌山0、兵庫(東)0、兵庫(西)0、兵庫(北)1、岡山3、広島1、山口2、島根2、鳥取1、香川0、徳島0、愛媛0、高知0、福岡3、熊本2、佐賀2、長崎2、大分2、宮崎鹿児島沖縄0、福島1、宮城1、山形2、岩手0、秋田3、青森1、北海道(東)2、北海道(西)0、北海道(南)3、北海道(北)2、その他―布教研修所13、現宗研関係42、聴講16(うち宗会議員12)。
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